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71.『秋霖』に響く歌声⑥
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ここにある本に手を付けてしばらく、クリスの読める本がなくなる頃だった。
『実は、僕たちはそろそろ帰らないといけないんです』
ひと休みしているときに告げられた。
向かいに座るハルトを見れば、いつものように青い瞳が優しくこちらを見ていた。
帰る――?
つまり、この時間も終わり――。
この時間が終わってしまったら、自分は、――いったいどうなるんだろう。
隣に座るクリスは、ハルトとこちらを見比べていた。
『それで、もしよければ少しのあいだ、僕の「城」に遊びに来ませんか? ここでクリスさんと遊んでくれたお礼にご招待させてください』
胸に手をあて、ハルトがさらに優しい声で言った。
『ここと違って人がいないので寂しいところですが、ディアスさんが来てくれたら僕は嬉しいです』
『遊びに……?』
ハルトの言葉を考えていれば、隣から声がした。
『来てくれるの――』
まっすぐにこちらを見る目は期待で輝いており、大きな青い瞳がいつもより大きく近くにあった。
『クリスさんも遊びに来てくれたら嬉しいですよね。昔、ディアスさんのお父さまも遊びに来てくれたことがあるんですよ』
父、――久し振りにその存在を口にされ、頭の中に姿が浮かんだ。
心が黒く塗りつぶされるように、不安でいっぱいになればハルトに手を取られた。
『ディアスさんはご存知ないかもですが、お父さまは何度かこちらにいらしてるんですよ。ディアスさんがよく休まれている姿を見て安心されているのを僕は知っています。――だから心配いりませんよ』
眼鏡の奥に在る青い瞳を細めれば、握られた手が冷えていたみたいで暖かなぬくもりが伝わった。
『それに後からお父さまもいらっしゃる予定ですから、おひとりじゃありません。一足先に来て下さったら先にご案内します。……後から来るお父さまたちを驚かせたくありませんか?』
にこにこといつもの笑顔でハルトが言う。
この人は大人だというのに、ここではダメだと言われることをすぐに提案してくる。――変わった人だと思っていた。
もう一度隣を見れば、先ほどより静かになったクリスと目が合う。――いつもハルトたちと来ては本を読み、少し遊んでは夕方には部屋を出るが基本静かだった。
女子といえば姉といとこ姉妹が真っ先に思いつくが、三人そろえば華やかで楽しい声が絶えなくて賑やかだ。あの大人っぽい輪にクリスが入っているところが想像つかなくて、いつもどこでどうやって過ごしているのだろう。そんなことが気になった。
ハルトを見ればまたにこりと笑う。
『クリスさんの「城」でもあります。ディアスさんが来てくれたら、案内役はクリスさんにお任せしますね』
『あんないできるよ! ひみつきちも教えてあげる!』
『おや、またどこか秘密の場所でも作ったんですか?』
ハルトの言葉に得意げな顔をして、クリスが耳打ちしに行った。
『……なるほど、あそこですか』
『ハルトも来ていいよ』
『ありがとうございます。帰ったらお邪魔させていただきますね』
二人顔を見合わせれば、同じ色の瞳が嬉しそうに変わる。
『……遊びに来てくれる?』
返事を期待する声に小さく頷けば、ハルトの隣にいたクリスが駆け寄り手を取られた。
勢いのまま立ち上がれば、そのまま嬉しそうに手を引っ張られるも、支えきれずに絨毯の上に二人で転がってしまった。
慌てているハルトの事も、倒れたことも気に留めず、自分の返事に喜んでいる姿がただ眩しい。
『友だちをしょうかいしてあげる。みんなもきっとよろこぶよ』
――友だちがいるのか。
クリスといつも一緒にいる子はどんな子なのだろう。
心配するハルトをよそに、帰ったら一緒になにをしようかとクリスが一生懸命に話しているのを見つめていた。
◆◆◆◆◆
誰もいない静かな部屋で本を片手に待っていると、ノックの音と共にアイベルの代わりを務める側仕えが扉が開け、息を切らしたエリーチェを中に入れた。
「っ、お待たせー!」
この時間校舎に人は少ないだろうが、宿舎にいるときと同じように走って来たのかと苦笑する。
「エリーチェはいつでもそうなのか」
息を整えながら隣にやってくれば、椅子を引く手が止まる。
「……走ってないよ?」
誤魔化しているつもりなのか、噛み切れていない笑みが口元に浮かんでいる。
「大事がないならいい。とやかく言うつもりはない」
「えへへ、ありがと~」
手にしているのはカバンひとつで、机の上に置き中からひとつの冊子を取り出した。
「これ、ディアス様に渡したかったの。友だちの証にどうぞ」
無地のハードカバーのそれは、今手にしていた叢書を並べれば同じ程の厚みがある。大きさは20センチほどだろうか。小口を見れば一枚一枚が厚みがあるためページ数自体は少ないようだ。
「私の自慢のコレクションだよ。全部本物だから安心して」
胸を叩き自信ありげなエリーチェの言葉と共に適当なページが開かれれば、ページの上下に写真が貼られたアルバムだった。――見開き四枚並んでいるのはクリスだ。
「この前エレノアさんの写真集燃やしたって聞いたから、ディアス様やるな――、って思ってたんだ」
顎に指を添えたエリーチェが、力強い信頼の眼差しをこちらに向けている。
「……エレノア?」
「あの写真集に写ってた人だよ~。パッと見似てるけど、異性受けを狙った写真が多くて……、元からそういう人だから仕方ないというか……。でも、クリスはそうじゃないと声を大にして言いたい」
思い出すのも癪だがあの表紙から伝わる違和感に、エリーチェも同じ感想を持っていた。
「確かに。――だが、たまに代わりを務めていると聞いたが」
「うん、たまにね。別にエレノアさん自身は悪い人じゃないんだけど、悪ノリが過ぎるときがあって困っちゃうかな。――でもこれは純正品だから安心して」
「……これって本人に許可を得ているのか」
「四方天は悪用しない限り肖像権フリーだから問題ないよ!」
親指と人差し指を付け、OKサインを出している。先日行った教会の垂れ幕を思うに、かなり自由にさせているのだろう。
セーレたちはその状況をどう思っているのか、複雑な気持ちを抱える。――こちらでも公務で写真を撮られることはあるが、勝手に使用できないよう精査していたはずだ。
「本人も知ってるし、布教用だから遠慮なく受け取ってくれていいよ。同士に会えた記念だと思ってくれれば!」
この話に恐らく本人も気にしないだろうが、――――躊躇いつつ――――彼女の好意を受け取ることにした。――断っても本人に話が行くかもしれないし口止めしても果たして意味があるか分からない状況なら、どうにでもなれという諦めのままこの状況を受け入れるしかないだろう。
ご機嫌そうなエリーチェに付き合えば、気の向くままに開かれたページから話が始まった。
「……クリスはどうしてるんだ?」
とめどく語られるクリスの普段の様子に、ここで見ている日常とは違うことにたまらず尋ねた。
「一応シューシャにいるってことになってるんだけど、……ティアラ様から何か聞いてる?」
あまり隠し事は得意でないのだろう。説明に素直さがにじみ出ている。
「クリスが呪いを受けていると……、大変な状況なのか?」
「うーん、……大変といえばそうなのかもだけど、そんなものにクリスは負けない人だから大丈夫だよ」
思い詰めていたティアラとは違い、確かな信頼を寄せている言葉が無邪気な笑顔に載せられる。
「クリスは聖国最強なの。――誰にも負けない強さを持ってることを蒼龍神さまがお認めになってるんだから心配しないで」
「……掛けられた呪いって、どういうものなんだ」
「方天の力がうまく使えないみたい。でも、聖国のみんなも解決できるよう動いてくれてるし、王様たちにも協力を頼んでるから元に戻れるのも、もうすぐだと思うんだ」
「父たちに……?」
にこりと笑うエリーチェに、ここに居る理由のひとつを知る。
父がそんな協力をしていることは、叔父も知らないのだろう。もし知っていたら、父が『蒼家の人間』に目をかけている理由に気付くだろうし、会ったことはなくともクリスの状況を気に掛けていたはずだ。
いままで新聞で読む限りそのような話は一切載っておらず、聖国はつつがなく平和そのものだ。触れられない話題と伏せられた状況が続く。――――何も知らなければきっと、今でもクリスのことをずっと気に掛けていただろう。
「そうなの、だからティアラ様が王都に行ってくれるのは別に悪いことじゃないんだ~。あと、私もティアラ様がいないときにやりたいこともあったからちょうどよかったの」
扉をノックする音で話が中断すれば、新たな登場人物がこちらの姿を視界に入れて顔が華やいだ。
「おはようございます、兄さま、エリーチェ。僕もご一緒していいですか?」
「おはようございます、エミリオ様! よかったら一緒にお話ししましょ」
張り切るエリーチェが席を立ち弟を歓迎した。アイベルとキールの姿も見えれば、側仕えたちと交代した。
二人で見ていた冊子を静かに閉じ、弟を迎えることにした。
「お二人で何のお話しをしていたんですか?」
「私の自慢の友だちの話を聞いてもらってたんだ~」
エリーチェがエミリオに経緯を説明していた。
アイベルに今日の分の新聞を側に置かれるが、今日は見る余裕はないだろう。冊子と合わせて部屋に置いておくよう伝えれば、側仕えのひとりに寮へ届けるよう頼んでいた。
「――――ちょうどよかったって、どういう意味なんだ」
来訪者で途切れた話の続きを引き出すと、同時に朝食が運ばれる。
良い香りのする食事に目を輝かせていたエリーチェだったが、こほんと咳払いし仕切り直しをしていた。
「昨日、ここでみんなにブライダル事業の話をしたのは覚えてる? 来月にプロモーションを兼ねて撮影会をするって話」
「……それとティアラが関係あるのか?」
「ありますとも。おまけに元気のないクリスを元気づけられる秘策つき!」
「誰かお元気を無くされているんですか?」
弟の純然たる疑問に、二人で弟を見た。
慌てるエリーチェを制し、話を整理した。
「エミリオはティアラを覚えているか」
「はい、セーレの令室ですよね。ずっと前に会ったきりなので、そんなに覚えている訳ではないですが……」
「そのティアラがピオニールに来ていていたんだ。きっと後で紹介があるだろう。――そのティアラと離れたクリスが気落ちしていると、さきほどエリーチェに聞いていたんだ」
「そうだったんですか……。いついらしてたんですか?」
「後で説明があるだろうから、その時でもいいか」
はい、と返事したエミリオに隣で胸を撫でおろしている様子が伝わってきた。――昼にはきっと祖母の元へ顔を出しに行くだろう。黙って王都へ行くようなことはないはずだ。叔父やヴァイスにも声が掛かるだろう。
用意された新しい紅茶に手を伸ばし口にする。――――自ら母を振り払ったことに落ち込む姿に、あの人も一緒にその場に現れるのだろうか。
「この話はまたあとでにしよっか。ティアラ様が王都に行ったあとで、――みんなにも協力してもらいたいと思ってるんだ。だから覚えててね」
弾む声から、ティアラが王都へ行くことを前向きに捉えているらしい。あの状態から、元気づけられるものがあるのか。
温められた小さなパンにチーズや野菜などを盛り、ひとくちで頬張るエリーチェの嬉しそうな顔を見れば、普段あまり食の進まない朝食に手を付けた。
まだ話足りないようでエリーチェはここに来てからの話や、普段知らない姉たちの様子まで教えてくれた。エミリオも話を聞きながら、エリーチェの真似をしてパンに載せたものをうまく口に運べず崩した。
弟が自分の失敗に小さく笑う。エリーチェがアドバイスを送れば、再度挑戦していた。
小さな弟に笑みを送れば、窓の外は変わらず曖昧な色のまま静々と雨が降っているのが目に入った。
休めているのだろうか――。
幼い頃と違い、ずっと多くの人があの人の傍に居る。
その中のひとつでしかなくなったが、束の間の休息であったとしても、どうか安らかであってくれと願わずにいられなかった。
◆◆◆◆◆
いつもと違う匂いとせせらぐ音に、ここはどこだと目を開けた。
『おはよう』
目の前に見慣れた顔が頬杖をつき現れた。――どうやらすぐ隣で寝転がって、こちらが起きるのを待っていたらしい。ずっと見られていたのかとバツの悪さを誤魔化すように起きれば、自分の部屋でないことに気付いた。
『ようこそ。ここはクリスのお城だよ』
寝っ転がった姿勢から勢いよくベッドの上に立てば、両手を広げて紹介してくれた。天蓋のないベッドに部屋はどこを見ても白ばかり。石造りなのか冷たさのある作りに、自分のいた場所と全然違うことだけは分かった。自分のいた部屋と同じくらいの広さに、似たようなサイズの本棚や机や椅子が置かれていた。
あかりの入る窓を見てみれば、カーテンはなく風もない――。
『あれは友だち』
見たこともない透明な景色が広がっていた。
呆気に取られるばかりの手をクリスに取られ、窓の傍へと近付く。
『名まえもつけたんだけど、じいじが食べちゃって……。たくさんいるし、分からなくなって名まえつけるのやめたんだ』
陽の光がゆらゆらと目に入り眩しさにひるむが、目の前にある光景が信じられず目をこすりもう一度見る。――大きな窓から見えるのは、色とりどりの魚だった。
前に、クリスが描いた絵をハルトが部屋中に飛ばしていたが、あれよりも大きな魚たちが窓の外を泳いでいる。
泳ぐ魚は見たことがあった。だが、城内の池や小さな水槽に入れられた小さな魚ばかりで、見たことのない大きさと色とりどりな形が目の前を泳いでいく。まるで夢でも見ているようだ――。
ここはどこだろうともう一度クリスを見れば、ずっとこちらを見ていたようですぐに目が合った。
『ほかにも友だちはいるんだ。ぜんぶしょうかいしてあげるね』
早く案内したいとクリスの高鳴る気持ちが伝われば、ここには何があるのかと気になりクリスの手に引かれて探検が始まった。
◆◆◆◆◆
走り回れば危ないとよく注意されたが、ここで窘める者はいなかった。
見知らぬ城をおもむくままに探検してみれば、あの窓の外にあった光景はこの城の中庭だった。
葉も花もついてない大きなひとつの木の周りに、花々が敷き詰められ、その上で魚たちが泳いでる。――一体どうなっているのか分からないが、水を通って落ちる日の形がゆらめきと共に、形を歪めて草木に落ちるのはただただ不思議な光景だった。
ここにある花がクリスの友だちだと紹介されれば、魚たちの影が花畑の中を泳いでいく。そのまま水で覆われた空を見上げていると、後ろから声を掛けられた。
『あら、おはよう。二人ともお腹は空いてない?』
『すいたかも……。なにかあるの?』
柔らかな笑みを湛えた、ばあばが傍に来た。
『お台所にじいじがいるわ。一緒に行ってみましょうか』
差し出された手をクリスが掴み、クリスがこちらに手を差し伸べた。その手を取ればすぐ近くにある厨房へと案内される。
ユスティツィア城では、近寄るだけで危ないからとたくさんの人に注意された場所だったが、ここでは数人しかいなくて、誰もがどうぞと受け入れてくれた。
厨房の中に椅子を持ち込んで、間近で調理の様子や料理が出来るまでを見せてもらった。
未完成の料理の味見をさせてもらったり、はじめての体験ばかりだ。
ユスティツィア城とは違い、どこにいてもなにをしても許される緩やかな空気が心地よかった。
ユスティツィアよりも小さな城だけど、ここには衛兵も侍女もおらずずっと静かだ。
たくさん紹介されたクリスの『友だち』もみんな静かで、誰も口を開かない。
魚の『友だち』、花の『友だち』、ぬいぐるみの『友だち』、本の『友だち』――。
秘密基地もたくさんあり、そこで一緒に過ごす『友だち』もいたが、誰もクリスに言葉を返さない。
どこにいても静かで、誰もいないから比べられることもない。
ここではいやな声も言葉も届かない。
だけど――、同じ本を何度も読み、言葉に詰まることも減ったクリスの横顔を見ていた。
『さびしくないの?』
急に声を掛けたからか、ぎこちなく振り返る顔が驚きに満ちていた。その硬い表情に余計なことを言ったと気付くも遅かった。
なんて言えばいいか分からずに言葉を探しながら、深い青色から逃げるように目を逸らした。
『ごめん……』
『はっ……、話せるの……?』
戸惑う声に小さく返事をすれば、気まずい静寂が訪れる。
何も言わなければ、心地よい静かさのままでいられたかもと後悔が襲う。
『……あの、――わたしの名まえはクリス』
すぐ隣にいたクリスが改めて名乗れば、すぐ近くに顔があった。――ここに来た時と同じ顔だ。
『あなたのお名まえは?』
ずっと『あなた』と呼ばれていたが、ちゃんと名乗ってなかったことを思い出した。
初めて会う人に自己紹介したことはあるが、ずっと一緒に居てくれた人にどう挨拶すればいいか分からない。――――クリスを見れば、庭に落ちる光のようにきらりと揺れる青色がまっすぐに自分のことだけを見ていた。
『……ディアス』
『みんなが『おーじ』とか『でんか』とか呼んでたけど、それもあなたの名まえなの?』
『……すこしちがう』
『そうなんだ。――わたしもあなたのこと、ディアスって呼んでいい?』
『うん、……おれも、クリスって呼んでいい?』
『うん! よろしくねディアス』
弾む声が本を手放し、ディアスの手を掴んで嬉しそうに笑っていた。
『実は、僕たちはそろそろ帰らないといけないんです』
ひと休みしているときに告げられた。
向かいに座るハルトを見れば、いつものように青い瞳が優しくこちらを見ていた。
帰る――?
つまり、この時間も終わり――。
この時間が終わってしまったら、自分は、――いったいどうなるんだろう。
隣に座るクリスは、ハルトとこちらを見比べていた。
『それで、もしよければ少しのあいだ、僕の「城」に遊びに来ませんか? ここでクリスさんと遊んでくれたお礼にご招待させてください』
胸に手をあて、ハルトがさらに優しい声で言った。
『ここと違って人がいないので寂しいところですが、ディアスさんが来てくれたら僕は嬉しいです』
『遊びに……?』
ハルトの言葉を考えていれば、隣から声がした。
『来てくれるの――』
まっすぐにこちらを見る目は期待で輝いており、大きな青い瞳がいつもより大きく近くにあった。
『クリスさんも遊びに来てくれたら嬉しいですよね。昔、ディアスさんのお父さまも遊びに来てくれたことがあるんですよ』
父、――久し振りにその存在を口にされ、頭の中に姿が浮かんだ。
心が黒く塗りつぶされるように、不安でいっぱいになればハルトに手を取られた。
『ディアスさんはご存知ないかもですが、お父さまは何度かこちらにいらしてるんですよ。ディアスさんがよく休まれている姿を見て安心されているのを僕は知っています。――だから心配いりませんよ』
眼鏡の奥に在る青い瞳を細めれば、握られた手が冷えていたみたいで暖かなぬくもりが伝わった。
『それに後からお父さまもいらっしゃる予定ですから、おひとりじゃありません。一足先に来て下さったら先にご案内します。……後から来るお父さまたちを驚かせたくありませんか?』
にこにこといつもの笑顔でハルトが言う。
この人は大人だというのに、ここではダメだと言われることをすぐに提案してくる。――変わった人だと思っていた。
もう一度隣を見れば、先ほどより静かになったクリスと目が合う。――いつもハルトたちと来ては本を読み、少し遊んでは夕方には部屋を出るが基本静かだった。
女子といえば姉といとこ姉妹が真っ先に思いつくが、三人そろえば華やかで楽しい声が絶えなくて賑やかだ。あの大人っぽい輪にクリスが入っているところが想像つかなくて、いつもどこでどうやって過ごしているのだろう。そんなことが気になった。
ハルトを見ればまたにこりと笑う。
『クリスさんの「城」でもあります。ディアスさんが来てくれたら、案内役はクリスさんにお任せしますね』
『あんないできるよ! ひみつきちも教えてあげる!』
『おや、またどこか秘密の場所でも作ったんですか?』
ハルトの言葉に得意げな顔をして、クリスが耳打ちしに行った。
『……なるほど、あそこですか』
『ハルトも来ていいよ』
『ありがとうございます。帰ったらお邪魔させていただきますね』
二人顔を見合わせれば、同じ色の瞳が嬉しそうに変わる。
『……遊びに来てくれる?』
返事を期待する声に小さく頷けば、ハルトの隣にいたクリスが駆け寄り手を取られた。
勢いのまま立ち上がれば、そのまま嬉しそうに手を引っ張られるも、支えきれずに絨毯の上に二人で転がってしまった。
慌てているハルトの事も、倒れたことも気に留めず、自分の返事に喜んでいる姿がただ眩しい。
『友だちをしょうかいしてあげる。みんなもきっとよろこぶよ』
――友だちがいるのか。
クリスといつも一緒にいる子はどんな子なのだろう。
心配するハルトをよそに、帰ったら一緒になにをしようかとクリスが一生懸命に話しているのを見つめていた。
◆◆◆◆◆
誰もいない静かな部屋で本を片手に待っていると、ノックの音と共にアイベルの代わりを務める側仕えが扉が開け、息を切らしたエリーチェを中に入れた。
「っ、お待たせー!」
この時間校舎に人は少ないだろうが、宿舎にいるときと同じように走って来たのかと苦笑する。
「エリーチェはいつでもそうなのか」
息を整えながら隣にやってくれば、椅子を引く手が止まる。
「……走ってないよ?」
誤魔化しているつもりなのか、噛み切れていない笑みが口元に浮かんでいる。
「大事がないならいい。とやかく言うつもりはない」
「えへへ、ありがと~」
手にしているのはカバンひとつで、机の上に置き中からひとつの冊子を取り出した。
「これ、ディアス様に渡したかったの。友だちの証にどうぞ」
無地のハードカバーのそれは、今手にしていた叢書を並べれば同じ程の厚みがある。大きさは20センチほどだろうか。小口を見れば一枚一枚が厚みがあるためページ数自体は少ないようだ。
「私の自慢のコレクションだよ。全部本物だから安心して」
胸を叩き自信ありげなエリーチェの言葉と共に適当なページが開かれれば、ページの上下に写真が貼られたアルバムだった。――見開き四枚並んでいるのはクリスだ。
「この前エレノアさんの写真集燃やしたって聞いたから、ディアス様やるな――、って思ってたんだ」
顎に指を添えたエリーチェが、力強い信頼の眼差しをこちらに向けている。
「……エレノア?」
「あの写真集に写ってた人だよ~。パッと見似てるけど、異性受けを狙った写真が多くて……、元からそういう人だから仕方ないというか……。でも、クリスはそうじゃないと声を大にして言いたい」
思い出すのも癪だがあの表紙から伝わる違和感に、エリーチェも同じ感想を持っていた。
「確かに。――だが、たまに代わりを務めていると聞いたが」
「うん、たまにね。別にエレノアさん自身は悪い人じゃないんだけど、悪ノリが過ぎるときがあって困っちゃうかな。――でもこれは純正品だから安心して」
「……これって本人に許可を得ているのか」
「四方天は悪用しない限り肖像権フリーだから問題ないよ!」
親指と人差し指を付け、OKサインを出している。先日行った教会の垂れ幕を思うに、かなり自由にさせているのだろう。
セーレたちはその状況をどう思っているのか、複雑な気持ちを抱える。――こちらでも公務で写真を撮られることはあるが、勝手に使用できないよう精査していたはずだ。
「本人も知ってるし、布教用だから遠慮なく受け取ってくれていいよ。同士に会えた記念だと思ってくれれば!」
この話に恐らく本人も気にしないだろうが、――――躊躇いつつ――――彼女の好意を受け取ることにした。――断っても本人に話が行くかもしれないし口止めしても果たして意味があるか分からない状況なら、どうにでもなれという諦めのままこの状況を受け入れるしかないだろう。
ご機嫌そうなエリーチェに付き合えば、気の向くままに開かれたページから話が始まった。
「……クリスはどうしてるんだ?」
とめどく語られるクリスの普段の様子に、ここで見ている日常とは違うことにたまらず尋ねた。
「一応シューシャにいるってことになってるんだけど、……ティアラ様から何か聞いてる?」
あまり隠し事は得意でないのだろう。説明に素直さがにじみ出ている。
「クリスが呪いを受けていると……、大変な状況なのか?」
「うーん、……大変といえばそうなのかもだけど、そんなものにクリスは負けない人だから大丈夫だよ」
思い詰めていたティアラとは違い、確かな信頼を寄せている言葉が無邪気な笑顔に載せられる。
「クリスは聖国最強なの。――誰にも負けない強さを持ってることを蒼龍神さまがお認めになってるんだから心配しないで」
「……掛けられた呪いって、どういうものなんだ」
「方天の力がうまく使えないみたい。でも、聖国のみんなも解決できるよう動いてくれてるし、王様たちにも協力を頼んでるから元に戻れるのも、もうすぐだと思うんだ」
「父たちに……?」
にこりと笑うエリーチェに、ここに居る理由のひとつを知る。
父がそんな協力をしていることは、叔父も知らないのだろう。もし知っていたら、父が『蒼家の人間』に目をかけている理由に気付くだろうし、会ったことはなくともクリスの状況を気に掛けていたはずだ。
いままで新聞で読む限りそのような話は一切載っておらず、聖国はつつがなく平和そのものだ。触れられない話題と伏せられた状況が続く。――――何も知らなければきっと、今でもクリスのことをずっと気に掛けていただろう。
「そうなの、だからティアラ様が王都に行ってくれるのは別に悪いことじゃないんだ~。あと、私もティアラ様がいないときにやりたいこともあったからちょうどよかったの」
扉をノックする音で話が中断すれば、新たな登場人物がこちらの姿を視界に入れて顔が華やいだ。
「おはようございます、兄さま、エリーチェ。僕もご一緒していいですか?」
「おはようございます、エミリオ様! よかったら一緒にお話ししましょ」
張り切るエリーチェが席を立ち弟を歓迎した。アイベルとキールの姿も見えれば、側仕えたちと交代した。
二人で見ていた冊子を静かに閉じ、弟を迎えることにした。
「お二人で何のお話しをしていたんですか?」
「私の自慢の友だちの話を聞いてもらってたんだ~」
エリーチェがエミリオに経緯を説明していた。
アイベルに今日の分の新聞を側に置かれるが、今日は見る余裕はないだろう。冊子と合わせて部屋に置いておくよう伝えれば、側仕えのひとりに寮へ届けるよう頼んでいた。
「――――ちょうどよかったって、どういう意味なんだ」
来訪者で途切れた話の続きを引き出すと、同時に朝食が運ばれる。
良い香りのする食事に目を輝かせていたエリーチェだったが、こほんと咳払いし仕切り直しをしていた。
「昨日、ここでみんなにブライダル事業の話をしたのは覚えてる? 来月にプロモーションを兼ねて撮影会をするって話」
「……それとティアラが関係あるのか?」
「ありますとも。おまけに元気のないクリスを元気づけられる秘策つき!」
「誰かお元気を無くされているんですか?」
弟の純然たる疑問に、二人で弟を見た。
慌てるエリーチェを制し、話を整理した。
「エミリオはティアラを覚えているか」
「はい、セーレの令室ですよね。ずっと前に会ったきりなので、そんなに覚えている訳ではないですが……」
「そのティアラがピオニールに来ていていたんだ。きっと後で紹介があるだろう。――そのティアラと離れたクリスが気落ちしていると、さきほどエリーチェに聞いていたんだ」
「そうだったんですか……。いついらしてたんですか?」
「後で説明があるだろうから、その時でもいいか」
はい、と返事したエミリオに隣で胸を撫でおろしている様子が伝わってきた。――昼にはきっと祖母の元へ顔を出しに行くだろう。黙って王都へ行くようなことはないはずだ。叔父やヴァイスにも声が掛かるだろう。
用意された新しい紅茶に手を伸ばし口にする。――――自ら母を振り払ったことに落ち込む姿に、あの人も一緒にその場に現れるのだろうか。
「この話はまたあとでにしよっか。ティアラ様が王都に行ったあとで、――みんなにも協力してもらいたいと思ってるんだ。だから覚えててね」
弾む声から、ティアラが王都へ行くことを前向きに捉えているらしい。あの状態から、元気づけられるものがあるのか。
温められた小さなパンにチーズや野菜などを盛り、ひとくちで頬張るエリーチェの嬉しそうな顔を見れば、普段あまり食の進まない朝食に手を付けた。
まだ話足りないようでエリーチェはここに来てからの話や、普段知らない姉たちの様子まで教えてくれた。エミリオも話を聞きながら、エリーチェの真似をしてパンに載せたものをうまく口に運べず崩した。
弟が自分の失敗に小さく笑う。エリーチェがアドバイスを送れば、再度挑戦していた。
小さな弟に笑みを送れば、窓の外は変わらず曖昧な色のまま静々と雨が降っているのが目に入った。
休めているのだろうか――。
幼い頃と違い、ずっと多くの人があの人の傍に居る。
その中のひとつでしかなくなったが、束の間の休息であったとしても、どうか安らかであってくれと願わずにいられなかった。
◆◆◆◆◆
いつもと違う匂いとせせらぐ音に、ここはどこだと目を開けた。
『おはよう』
目の前に見慣れた顔が頬杖をつき現れた。――どうやらすぐ隣で寝転がって、こちらが起きるのを待っていたらしい。ずっと見られていたのかとバツの悪さを誤魔化すように起きれば、自分の部屋でないことに気付いた。
『ようこそ。ここはクリスのお城だよ』
寝っ転がった姿勢から勢いよくベッドの上に立てば、両手を広げて紹介してくれた。天蓋のないベッドに部屋はどこを見ても白ばかり。石造りなのか冷たさのある作りに、自分のいた場所と全然違うことだけは分かった。自分のいた部屋と同じくらいの広さに、似たようなサイズの本棚や机や椅子が置かれていた。
あかりの入る窓を見てみれば、カーテンはなく風もない――。
『あれは友だち』
見たこともない透明な景色が広がっていた。
呆気に取られるばかりの手をクリスに取られ、窓の傍へと近付く。
『名まえもつけたんだけど、じいじが食べちゃって……。たくさんいるし、分からなくなって名まえつけるのやめたんだ』
陽の光がゆらゆらと目に入り眩しさにひるむが、目の前にある光景が信じられず目をこすりもう一度見る。――大きな窓から見えるのは、色とりどりの魚だった。
前に、クリスが描いた絵をハルトが部屋中に飛ばしていたが、あれよりも大きな魚たちが窓の外を泳いでいる。
泳ぐ魚は見たことがあった。だが、城内の池や小さな水槽に入れられた小さな魚ばかりで、見たことのない大きさと色とりどりな形が目の前を泳いでいく。まるで夢でも見ているようだ――。
ここはどこだろうともう一度クリスを見れば、ずっとこちらを見ていたようですぐに目が合った。
『ほかにも友だちはいるんだ。ぜんぶしょうかいしてあげるね』
早く案内したいとクリスの高鳴る気持ちが伝われば、ここには何があるのかと気になりクリスの手に引かれて探検が始まった。
◆◆◆◆◆
走り回れば危ないとよく注意されたが、ここで窘める者はいなかった。
見知らぬ城をおもむくままに探検してみれば、あの窓の外にあった光景はこの城の中庭だった。
葉も花もついてない大きなひとつの木の周りに、花々が敷き詰められ、その上で魚たちが泳いでる。――一体どうなっているのか分からないが、水を通って落ちる日の形がゆらめきと共に、形を歪めて草木に落ちるのはただただ不思議な光景だった。
ここにある花がクリスの友だちだと紹介されれば、魚たちの影が花畑の中を泳いでいく。そのまま水で覆われた空を見上げていると、後ろから声を掛けられた。
『あら、おはよう。二人ともお腹は空いてない?』
『すいたかも……。なにかあるの?』
柔らかな笑みを湛えた、ばあばが傍に来た。
『お台所にじいじがいるわ。一緒に行ってみましょうか』
差し出された手をクリスが掴み、クリスがこちらに手を差し伸べた。その手を取ればすぐ近くにある厨房へと案内される。
ユスティツィア城では、近寄るだけで危ないからとたくさんの人に注意された場所だったが、ここでは数人しかいなくて、誰もがどうぞと受け入れてくれた。
厨房の中に椅子を持ち込んで、間近で調理の様子や料理が出来るまでを見せてもらった。
未完成の料理の味見をさせてもらったり、はじめての体験ばかりだ。
ユスティツィア城とは違い、どこにいてもなにをしても許される緩やかな空気が心地よかった。
ユスティツィアよりも小さな城だけど、ここには衛兵も侍女もおらずずっと静かだ。
たくさん紹介されたクリスの『友だち』もみんな静かで、誰も口を開かない。
魚の『友だち』、花の『友だち』、ぬいぐるみの『友だち』、本の『友だち』――。
秘密基地もたくさんあり、そこで一緒に過ごす『友だち』もいたが、誰もクリスに言葉を返さない。
どこにいても静かで、誰もいないから比べられることもない。
ここではいやな声も言葉も届かない。
だけど――、同じ本を何度も読み、言葉に詰まることも減ったクリスの横顔を見ていた。
『さびしくないの?』
急に声を掛けたからか、ぎこちなく振り返る顔が驚きに満ちていた。その硬い表情に余計なことを言ったと気付くも遅かった。
なんて言えばいいか分からずに言葉を探しながら、深い青色から逃げるように目を逸らした。
『ごめん……』
『はっ……、話せるの……?』
戸惑う声に小さく返事をすれば、気まずい静寂が訪れる。
何も言わなければ、心地よい静かさのままでいられたかもと後悔が襲う。
『……あの、――わたしの名まえはクリス』
すぐ隣にいたクリスが改めて名乗れば、すぐ近くに顔があった。――ここに来た時と同じ顔だ。
『あなたのお名まえは?』
ずっと『あなた』と呼ばれていたが、ちゃんと名乗ってなかったことを思い出した。
初めて会う人に自己紹介したことはあるが、ずっと一緒に居てくれた人にどう挨拶すればいいか分からない。――――クリスを見れば、庭に落ちる光のようにきらりと揺れる青色がまっすぐに自分のことだけを見ていた。
『……ディアス』
『みんなが『おーじ』とか『でんか』とか呼んでたけど、それもあなたの名まえなの?』
『……すこしちがう』
『そうなんだ。――わたしもあなたのこと、ディアスって呼んでいい?』
『うん、……おれも、クリスって呼んでいい?』
『うん! よろしくねディアス』
弾む声が本を手放し、ディアスの手を掴んで嬉しそうに笑っていた。
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