虹色小判

しまたろす

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第1章 学生編

1 国立未来育成学校

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武術、学問、スポーツ、芸術、経済、、などなどなど
ありとあらゆる分野に突発した者が集まり、
同じ分野同士、又は違う分野同士が
刺激しあい高め合い、
国の未来を切り拓く者を育てる学校。
その名を『国立未来育成学校』を国が創った。
厳しい審査を乗り越え入学できた者は、
最高の環境の中自身のスキルを磨き、
世界に名を残す者もいた。

そんな『天才の集まる学校』が
更に世間を賑わす改革を実行すると公表した。
全国民の6歳~29歳を対象に、ただ純粋に抽選し
『強運の持ち主』を学校に迎え入れると。
選ばれた者は拒否権も持っているが、
入学すれば今後の人生で、困ることのない
資産・資金を提供するとの文面も一緒に。
これを聞いた国民たちによる賛否両論の
嵐が吹き荒れたが、それ以外の情報公開を
学校側がすることがなかったため、

「混乱を生みそうだから急遽中止したのでは?」
「注目を集めたかっただけ」
「実は関係者に金だけ渡してるのでは?」

と国の管理の為、色々憶測が飛び交ったが
数カ月もすれば噂は廃れて行き、
また新たな天才が生まれたと
平常運転へと戻っていったのだ。

だがその改革は行われており、
1人の学生の人生を大きく変えていたのであった。






「じいちゃん!ただいま!」

「お帰り澪音。今日は晩飯はどうするかい?」

「今日は店長さんが晩飯奢ってくれるって言ってたから大丈夫だよ。でも週末だから遅くまでこき使われると思うから、帰りはおそくなるかなー」

「そうかい。そうかい。」

「まあじいちゃんは無理せず先寝てていいから!あと明日は学校休みだし、家事も置いといて俺やるから」

「お前こそ無理するんじゃないよ」

「はいはい。じゃあシャワー浴びたら行くから、火元とか気をつけてね」

「はいはい。承知じゃ。」

母方の祖父と二人で暮らし始め3年が経った。
俺が中学生の頃に母は病気になり、
入退院を繰り返す日々を、
父と俺で支え支えられていたが、
それでも治れば
またいつもの日常に戻ると思っていた。
それでも幸せに思えていた。
繰り返す日々が続き、
普通より少ないが家族団欒だったが、
それでも普通以上に喜び過ごせていた。

父が交通事故に合い亡くなるまでは。

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