虹色小判

しまたろす

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第1章 学生編

20 真実

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「まず、わしに親戚がいないのはこの世界の生まれではないからじゃ。」

「…え?は?」

「わしと愛音は別の世界の人間だったんじゃ。その時迷い込んできたのが勇澪くんじゃった。」



まてまてまてまて思考が追いつかない。
じいちゃんと母さんが異世界人!?
てか異世界ってなんだよ!?
パラレルワールドってことか!?



「急な話で戸惑うのもわかる。でも事実なんじゃ。…愛音の体調が良くなって、澪音が大人になたら二人から話そうとしていた。…それなのに子供達バカどもは。親どころか可愛い子どもまで置いていきおって。」


「…じいちゃん。大丈夫だよ。当時は辛かったけど今はじいちゃんがいるから。」


「すまんな。わしの方が取り乱したようじゃ。」


じいちゃんはそう言って、1つ深呼吸を挟んで
再び話し始めた。


「わしらの居った世界は魔法が発展した世界じゃった。大規模な召喚魔法として勇者召喚という、異世界から人を呼び出すものがあった。それに巻き込まれる形で、勇澪くんはわしらの世界にやって来た。それから功績を残しと結婚し、澪音を授かり村でのんびり子育てをしようとした矢先じゃった。光の魔法陣が勇澪くんの足元に現れた。わしは咄嗟にジェシカ…ばあさんを突き飛ばし魔法陣からだしたのじゃが、勇澪くんも同じ行動をとろうとしたが、お腹の中にいる澪音に気づき、同じことが出来なかった。そして光に包まれたと思ったらこの世界じゃった。勇澪くんの故郷の。」


「…そんなことが。…そっか。」


「…あと愛音、かあさんのことじゃが。…あっちの世界で魔法を使うには、身体を血のように巡っている魔力というものを使用する。使用しても大気中の魔力を取り込んで回復するんじゃが、こっちの世界には大気中にそれがなかった。わしは元々不器用のせいか殆ど魔力というものを使えなかったんじゃが、愛音は優秀じゃった。…それが仇となった。魔力の循環による身体の活性化ができず、更に来たこともない世界、年々弱っていた。」


治せない病気だったんだ。
たぶん父さんも母さんも理解してたんだ。
それがどんだけ辛かったのか想像もできなかった。
そりゃ伝えれないよね。こんなこと。


「急な話で信じれんかもしれんが、わしがこっちの世界に親戚がいない理由じゃ。」


「すぐには受け入れれないとおもうけど、…母さんの本当の名前はなって言うの?」


「…アリアじゃ。素敵な名前じゃろ?ジェシカ…ばあさんが考えた名前じゃ。」


「アリア。わかった、覚えとく。父さんが行ったんだ、もしかしたら可能性があるかも。その時は母さんと父さんの話しをジェシカばあちゃんにいっぱい話すよ。」


「そうかそうか。じゃがばあさんにばあちゃんと言うと切れられるぞ~。ハールエルフといい長寿の種族の血が入ってるからの。見た目はアリアと同じくらい美人で若いぞ。」


ドヤ顔で自慢してくる妻と娘を、自慢してくるじいちゃん。


「へぇ~そうなんだ。じいちゃんも隅に置けないね!」


気づけば最後は気さくな日常に近い、
会話へ戻っていた。
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