虹色小判

しまたろす

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第2章 天界編

30.5 メルダーサの憂鬱(メルちゃん視点)

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私の名はメルダーサ。世界を管理するもの。
俗に言う神様です。
神と言っても1つの世界を任されている、
どこにでもいるしがいない神です。
なのに大問題に見舞われています。
リスターという私の管理外の世界から、妨害を受けています。

きっかけは些細なことでした。


『メルダーサちゃんごめんよ~。でかい戦争が起きちゃって裁ききれなくてよ~。しかもこっちが落ち着くまで、受取にいけそうにない!すまん!』


神の仕事の1つとして、死んだ魂はその世界を管理する神も元へ戻ってきます。
そして、その魂を洗って再度新しい命として下界に送ったり、
そのまま汚れすぎると廃棄にしたりしています。
創れる魂は決まっているため、あまりに廃棄が多くなると、
魂の総量が減り、管理不足として降格され、別の世界に左遷又は首になるのです。

ごく稀に別の世界の魂が迷ってくるときがある。
特にリスターなどの魔法を導入している世界は、
特に人が死にやすく、神やその部下でも仕事が追いつかず、
飽和した魂が他の神の元へ、たどり着いてるしまうのです。
その場合は迷い込んだ魂を特定して、受け渡しをするのですが、
どうやら迷い込んだリスターの魂を直ぐには受け渡しできないと、
リスターの神『アレア』から連絡が入りました。
私は仕方なく再度受け取りの連絡があるまで、
預かることになりましたが、
魂は酷く汚れていたためついつい綺麗にしてしまいました。


『遅くなってすまないね~。しかも魂の浄化までしてもらって、本当に助かった!』


忘れているのかと思うくらい時間が経ったが、
魂の受け渡しがもでき、終わりかもおもったが、
たぶんここが始まりだった。

その後、何度が私の管理している魂がなくなるということが起きた。
原因を調べていくと、どうやらその魂はリスターに向かっていたのです。
最初は確認を求めたが、
来てない、わからないと断られるばかり。
実力行使にでるも逆に付け込まれ、徐々に魂がリスターへと流れていく。
このままだと管理不足として私はこの世界の管理を、
首になってしまいます。

私は藁にもすがる思いで、私の育てた子供たち、管理している世界の人類を
リスターに送ることを決意しました。
しかし、優れた人間ほど世界に影響を及ぼします。
そんな人物を引き抜けば、私の世界が不安定になる可能性もあります。
そこで世界に影響のない、はみ出した・・・・ものを選ぶことにしました。
そして選んだ7人・・を私の創った空間に飛ばし、
身体が魔素に馴染むまで、寝てもらうことにしました。
そしてこれからの説明に備え準備をしていると、
なんと全員起きているではないですか。
魔法で眠らしたのに何故?
急いでその場に向かい、説明をおこなった。

その方たちは今までの人間と少し違った。
前までの人間は下界に流行った小説の影響か、
やれ凄い能力が欲しいだの、やれ容姿や種族を変えて欲しいだの、
色んな要望を言ってきた。
しかしこの方たちは落ち着いており、理解も早かった。
少し希望が見えたのだが、説明の途中に自分の失敗に気づいた。

この場に8人・・居たのだ。

おそらく巻き込んでしました。
どう対処するかは説明を終わらしてから考えようと、
説明を終わらせ、最後の質問の際にその男の子・・・・・が手を上げた。


『これから向かう世界の名は『リスター』ですか?』


私の思考は色々疑った。
何故リスターを知っている?
こちらと同じやり口でリスター側から仕掛けてきたのか?

聞くと親がリスター出身だった。
だから魔法で眠らしたのだが、耐性を持っていたこの子が起きてしまい、
みんなを起こしてしまったのだ。

親がアレアに巻き込まれ、今回私が巻き込んでしまった。
素直に頭を下げると許してもらうどころか、
機会を待っていと言わんばかりに、行きたいと言われた。
私はホッとした。血筋でいえばこれ以上ない適正だ。
良い潜在能力も持っていると希望が生まれた。
やっと私にも追い風が吹いた気がした。

現実はそんなに甘くなかった。
この子の潜在能力は聞いたこともない能力で驚いた。
しかし、他7人も異常すぎるスキルだった。
そして適応能力。
その中の2人は早速スキルを発動させた。
巻き込まれた澪音くんって子なら、まだなんとか極僅かに可能性はあったが、
魔素を初めて聞いたはずなのに別の子が。。。
加えて魔法を使わずとも人間離れした戦闘能力。
魔法が加わり次元すら離れていく勢い。
その魔法を理解し、それに技術を交える応用能力。
最終的には見た目と動きは生き猫そっくりの、
ゴーレムまで自作してしまった。
追い風どころか私を含む全てを巻き込む、
暴風なのではと思うようになっていた。


そして旅たちの日。
それなりの期間一緒に居たせいか、静けさがすこし寂しくなった。


「ニャオ~」


「あら?タマも一緒についていっても良かっのですよ?」


タマは私の胸へと飛び込んできた。
私はタマの頭を撫でながら考えてしまった。

これから気合を入れて対応しないと、
問題児あのかたたちは絶対に良くも悪くもリスターを揺るがす。
タマがいなければ心が持たなかったかもしれない。
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