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ルートどころか、フラグも立ちません!
誰もがうらやむ血筋
洗練された身のこなし。
圧倒的ビジュアル。
その場にいた誰もが、リュークリオンから目を逸らせられないでいた。
「…やっぱり、皇太子は違うな。カリスマ性が半端ない」
挨拶を終え、壇上から降りるリュークリオンを見ながら、タクマがしみじみと呟いた。
女性ならず、男までも虜にしてしまうカリスマ性は、さすが乙女ゲームの王道攻略対象である。
ミナミはこんな素敵な人と恋愛できることが、嬉しくて信じられなく、その夜はうまく眠ることができなかった。
ーが、あれから3ヶ月。
リュークリオンとはいわゆる「ルート」に入るどころか、「フラグ」すら立っていなかった!
ーなんで?どうして??
あれから、ミナミは前世の知識を元に、あのてこの手で、攻略対象リュークリオンに近づいて行った。
だが、それらはことごとくかわされ、それどころか「勘違いストーカー女」と警戒され、もはや近づくことさえ難しい状態である。
ーおかしい......。どうしてフラグすら立たないの?私の前世で見たものは間違いだったの?!
「何をまた深刻な顔して…。まだ、皇太子とお近づきになること諦めてないのか??」
ブツブツと独り言を言う幼馴染兼兄妹を心配したタクマが、声をかける。
「いい加減にもうあきらめろよ。いくらお前が光属性という珍しい属性だとしてもそれだけじゃあ、あの皇太子とは並んであるけねえよ」
入学式以来、「運命の相手なの!」と言って、やたらと皇太子の周りをウロチョロして、奇行に走るミナミをあきれ気味でタクマは言った。
「う…うるさいなあ!」
ミナミもわかっていた。
本当に物語から抜け出たような王子様。
一方、ミナミは光属性が珍しいだけの、平凡な平民。
顔も愛嬌はあるが、特別美人でも綺麗でもない。
スタイルも中肉中背、所作も洗練されていない。
ーはあ、乙女ゲームって本当にゲームだから成り立ってるだけで、現実だとまさに無理ゲーだったのね。
ミナミは大きなため息をつく。
「おっ!タクマ!歴史の課題やった?悪いけど見せてくれない?」
そこへ、タクマの友達がきて、タクマと談笑して帰っていく。
ミナミはタクマをチラッと見ると言った。
「あんたも、私なんか気にしてないで、他の友達と食べてもいいのよ?...私といると他の友達が遠慮してタクマまで友達いなくなっちゃうわよ…」
入学式以来のミナミの奇行が噂を呼び、ただでさえ平民出身の光属性として注目されていたミナミは、周りから警戒され、気づけば、未だにタクマ以外に昼食を共にできるような友達がいなかった。
一方のタクマは、従来の面倒見の良さと気さくさで、周りには自然と人が集まっていた。
ただ、私に気を使ってか、お昼は相変わらす一緒に食べてくれる。
「はあ?お前、バカなの?俺が誰と食べようと俺の勝手だろ。それにやっぱり、お貴族様と四六時中一緒にいるのは疲れるもんでねっ」
そう言って、いたずらっぽく笑うタクマは、子犬のような可愛さと青年のような優しさが混じったような、思わずミナミでもキュンとしてしまいそうになる笑顔だった。
なるほど彼も攻略対象だったと納得させられてしまう。
ーそもそもタクマとの「ルート」はどうやって入るのだろう?
ふとミナミは思った。
実はミナミは前世で「聖女の学園」をやってはいたものの、やり込んではいなかったのだ。
なので、実際には王道のリュークリオンのルート(それも一部)しかやっておらず、他の攻略対象者は名前とプロフィール程度で、深いエピソードはほぼ知らないのだ。
正直、今までタクマを恋愛対象に見たことはなかった。
ーだって、恋愛はこの学園で攻略対象のリュークリオンとするって決めてたから。
ーでも、もしよ?もしかしてこのリュークリオンにまったく相手にされないってのがフラグで、すでにタクマルートに入ってるとしたら...。
「おいっ?大丈夫か?またぼーっとして。早くそれ、食べちゃえよ。冷めるぞ?」
その声を聞いて、ミナミは思わず我に返って赤くなった。
「なっ、何でもない!」
「変な奴」
意識すると急に恥ずかしくなってくる。
ータクマが私の攻略対象??でも、確かにそう考えると…。
タクマの艶やかな黒髪が陽の光に当たり、ややアッシュがかり、グレイの瞳にとても良く似合っていた。
腕まくりした袖から覗く筋肉はたくましく、鍛えられた騎士のようだった。
そして、目を細めて笑うその笑顔は、男女問わず好感が持てるだろう。
そうミナミが思った時、
「ぷっ、お前、パンくず口についてるぜ」
タクマはそう言って笑いながら、ミナミの口の横についているパンに手を伸ばした。
ざわざわ。
急に食堂内がざわつき始める。
「見て!あれ」
「まあっ。今日は会えるなんてついているわ」
「本当に素敵だわ。リュークリオン様たちよ!」
「ありゃ、皇太子様のご一行じゃん。食堂で会うなんて珍しいねえ」
初めこそ食堂で食べていたリュークリオン達だが、おそらくミナミを避けてだろう、いつからか食堂には滅多に来なくなった。
聞くところによると、談話室などに持ってこさせてそこで食べているらしい。
ー相変わらずの神々しさね。
ミナミにとって、リュークリオンを見るのは久しぶりだった。
それもあり、今一度改めてリュークリオンを見ると、なるほど「勘違いストーカー女」と言われてしまうのも納得だった。
ー元々住む世界が違うとはこういう事を言うのね。もう、バカな行動はよして学生らしく勉学に励もうかしら。
実を言うと、ミナミは入学以来フラグ立てに必死になりすぎて、友達もそうだが、勉強もほぼ手つかずだった。
ー前世から勉強するのは好きだったのよね。この世界の歴史とか普通に興味あるし、今度図書館で探してみようかしら。
ーそれに...。
「きゃあっ!」
「大丈夫か!アンジー!」
「また、何も無い所でこけそうになって。本当にアンジーはそそっかしいな」
よろけてこけそうになったアンジェリカをリュークリオンが支え、それを見て愛おしそうにセシリオが笑う。
「見て!アンジェシカ様達よ。相変わらず絵になりますわ」
周りの学生たちも彼らを見て口々に噂する。
アンジェリカ・サン・ドミエール。
彼女こそ、この乙女ゲームの悪役令嬢で、本来ならば主人公に嫌がらせやら邪魔をしてくる役なのである。
ーが。
一向に、ミナミの邪魔をしてこない。それどころか、絡んでも来ない!
そもそも、設定ではリュークリオンとアンジェリカは親同氏が決めた婚約で、アンジェリカはリュークリオンの事を気に入っていたが、リュークリオンの方は婚約者としての最低限の付き合いしかしなく、気持ちは完全にない…という設定だった。
それがどうだろう?
ちょっとよろけただけなのに、大げさに心配して優しく寄り添うリュークリオン。
それを微笑ましく見守る、リュークリオンの幼馴染で宰相候補のセシリオ(攻略対象)。
そして、王室聖騎士団長の息子で、実力は父親以上と噂されているランフォース(攻略対象)、最年少魔道士で公爵の息子パトリオット(攻略対象)と攻略対象全員がアンジェリカを気遣い、アンジェリカを溺愛しているのである!
ーおいおい、主人公、絶対あんた(アンジェリカ)だろ!!
そうなのだ、悪役令嬢のはずのアンジェリカが攻略対象全員に愛され過ぎていて、主人公のはずのミナミとは誰もルートどころかフラグすら立たないのである!
ミナミは改めて自分が「勘違い女」だと痛感するのであった。
洗練された身のこなし。
圧倒的ビジュアル。
その場にいた誰もが、リュークリオンから目を逸らせられないでいた。
「…やっぱり、皇太子は違うな。カリスマ性が半端ない」
挨拶を終え、壇上から降りるリュークリオンを見ながら、タクマがしみじみと呟いた。
女性ならず、男までも虜にしてしまうカリスマ性は、さすが乙女ゲームの王道攻略対象である。
ミナミはこんな素敵な人と恋愛できることが、嬉しくて信じられなく、その夜はうまく眠ることができなかった。
ーが、あれから3ヶ月。
リュークリオンとはいわゆる「ルート」に入るどころか、「フラグ」すら立っていなかった!
ーなんで?どうして??
あれから、ミナミは前世の知識を元に、あのてこの手で、攻略対象リュークリオンに近づいて行った。
だが、それらはことごとくかわされ、それどころか「勘違いストーカー女」と警戒され、もはや近づくことさえ難しい状態である。
ーおかしい......。どうしてフラグすら立たないの?私の前世で見たものは間違いだったの?!
「何をまた深刻な顔して…。まだ、皇太子とお近づきになること諦めてないのか??」
ブツブツと独り言を言う幼馴染兼兄妹を心配したタクマが、声をかける。
「いい加減にもうあきらめろよ。いくらお前が光属性という珍しい属性だとしてもそれだけじゃあ、あの皇太子とは並んであるけねえよ」
入学式以来、「運命の相手なの!」と言って、やたらと皇太子の周りをウロチョロして、奇行に走るミナミをあきれ気味でタクマは言った。
「う…うるさいなあ!」
ミナミもわかっていた。
本当に物語から抜け出たような王子様。
一方、ミナミは光属性が珍しいだけの、平凡な平民。
顔も愛嬌はあるが、特別美人でも綺麗でもない。
スタイルも中肉中背、所作も洗練されていない。
ーはあ、乙女ゲームって本当にゲームだから成り立ってるだけで、現実だとまさに無理ゲーだったのね。
ミナミは大きなため息をつく。
「おっ!タクマ!歴史の課題やった?悪いけど見せてくれない?」
そこへ、タクマの友達がきて、タクマと談笑して帰っていく。
ミナミはタクマをチラッと見ると言った。
「あんたも、私なんか気にしてないで、他の友達と食べてもいいのよ?...私といると他の友達が遠慮してタクマまで友達いなくなっちゃうわよ…」
入学式以来のミナミの奇行が噂を呼び、ただでさえ平民出身の光属性として注目されていたミナミは、周りから警戒され、気づけば、未だにタクマ以外に昼食を共にできるような友達がいなかった。
一方のタクマは、従来の面倒見の良さと気さくさで、周りには自然と人が集まっていた。
ただ、私に気を使ってか、お昼は相変わらす一緒に食べてくれる。
「はあ?お前、バカなの?俺が誰と食べようと俺の勝手だろ。それにやっぱり、お貴族様と四六時中一緒にいるのは疲れるもんでねっ」
そう言って、いたずらっぽく笑うタクマは、子犬のような可愛さと青年のような優しさが混じったような、思わずミナミでもキュンとしてしまいそうになる笑顔だった。
なるほど彼も攻略対象だったと納得させられてしまう。
ーそもそもタクマとの「ルート」はどうやって入るのだろう?
ふとミナミは思った。
実はミナミは前世で「聖女の学園」をやってはいたものの、やり込んではいなかったのだ。
なので、実際には王道のリュークリオンのルート(それも一部)しかやっておらず、他の攻略対象者は名前とプロフィール程度で、深いエピソードはほぼ知らないのだ。
正直、今までタクマを恋愛対象に見たことはなかった。
ーだって、恋愛はこの学園で攻略対象のリュークリオンとするって決めてたから。
ーでも、もしよ?もしかしてこのリュークリオンにまったく相手にされないってのがフラグで、すでにタクマルートに入ってるとしたら...。
「おいっ?大丈夫か?またぼーっとして。早くそれ、食べちゃえよ。冷めるぞ?」
その声を聞いて、ミナミは思わず我に返って赤くなった。
「なっ、何でもない!」
「変な奴」
意識すると急に恥ずかしくなってくる。
ータクマが私の攻略対象??でも、確かにそう考えると…。
タクマの艶やかな黒髪が陽の光に当たり、ややアッシュがかり、グレイの瞳にとても良く似合っていた。
腕まくりした袖から覗く筋肉はたくましく、鍛えられた騎士のようだった。
そして、目を細めて笑うその笑顔は、男女問わず好感が持てるだろう。
そうミナミが思った時、
「ぷっ、お前、パンくず口についてるぜ」
タクマはそう言って笑いながら、ミナミの口の横についているパンに手を伸ばした。
ざわざわ。
急に食堂内がざわつき始める。
「見て!あれ」
「まあっ。今日は会えるなんてついているわ」
「本当に素敵だわ。リュークリオン様たちよ!」
「ありゃ、皇太子様のご一行じゃん。食堂で会うなんて珍しいねえ」
初めこそ食堂で食べていたリュークリオン達だが、おそらくミナミを避けてだろう、いつからか食堂には滅多に来なくなった。
聞くところによると、談話室などに持ってこさせてそこで食べているらしい。
ー相変わらずの神々しさね。
ミナミにとって、リュークリオンを見るのは久しぶりだった。
それもあり、今一度改めてリュークリオンを見ると、なるほど「勘違いストーカー女」と言われてしまうのも納得だった。
ー元々住む世界が違うとはこういう事を言うのね。もう、バカな行動はよして学生らしく勉学に励もうかしら。
実を言うと、ミナミは入学以来フラグ立てに必死になりすぎて、友達もそうだが、勉強もほぼ手つかずだった。
ー前世から勉強するのは好きだったのよね。この世界の歴史とか普通に興味あるし、今度図書館で探してみようかしら。
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「きゃあっ!」
「大丈夫か!アンジー!」
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アンジェリカ・サン・ドミエール。
彼女こそ、この乙女ゲームの悪役令嬢で、本来ならば主人公に嫌がらせやら邪魔をしてくる役なのである。
ーが。
一向に、ミナミの邪魔をしてこない。それどころか、絡んでも来ない!
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それがどうだろう?
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それを微笑ましく見守る、リュークリオンの幼馴染で宰相候補のセシリオ(攻略対象)。
そして、王室聖騎士団長の息子で、実力は父親以上と噂されているランフォース(攻略対象)、最年少魔道士で公爵の息子パトリオット(攻略対象)と攻略対象全員がアンジェリカを気遣い、アンジェリカを溺愛しているのである!
ーおいおい、主人公、絶対あんた(アンジェリカ)だろ!!
そうなのだ、悪役令嬢のはずのアンジェリカが攻略対象全員に愛され過ぎていて、主人公のはずのミナミとは誰もルートどころかフラグすら立たないのである!
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