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1回戦、終結ッ!
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ドドォッ!グァーン!
味方の曳火射撃が降り注ぐ中Cクラスの突撃が始まった。
「横隊に展開!一気に突破する!」
4輌の虎がDクラス最前線に同時に襲いかかる。補給を断たれ弾が心許なくなってきていた最前線は戦車の突撃を受けて大きく崩れた。
『こちらゴースト1・2、対空兵器沈黙!』
『よぅし、出番だ!レンジャー!総員車に乗れ!タイガーと共に突破だ!』
そこに曳火射撃に代わってUH-60ブラックホークの援護射撃のもと、千田率いる歩兵隊が車両に乗り込み突破する。
Dクラスの第一防衛ラインは瞬く間に壊滅した。
「深追いはするな、このまま本陣まで進め!」
『いいのかタイガー?HQは今手薄だろ?』
千田の疑問にHQが答えた。
『奇襲部隊でも出てない限りは大丈夫。そんな動きは確認できてないし、拠点が攻撃されてる時に別動隊なんて出す余裕ないと思うよ』
『なるほどな、じゃあ敵本部がそれに気付いて部隊を立て直す前に攻め込まないとな』
一同は速度を上げた。
────────────────────
ゴースト3の分隊長は落ち葉に潜って息を潜めていた。味方は自分の他に3人だけ。他の分隊員とは散り散りになって安否すら分からない。
「無線さえ手に入れば…」
無線手は救援要請中に撃たれてしまった。今頃Dクラスの手によって後送されているだろう。
ゴースト3・4は前線補給処の騒動を受けて強化された警備隊に追われ、なんとか爆破に成功して逃げ出したものの遂に山腹で囲まれてしまった。
精鋭を揃えたとはいえ多勢に無勢。じりじりと数を減らして、後は殲滅されるのを待つだけだ。
タタタ…タタタタ…
遠くで時折銃声がするが、すぐに止む。それがまるでカウントダウンの様に思えた。
「分隊長、前方から足音が3」
「後方からも聴こえる…」
頼りになる隊員達だが挟撃されてはひとたまりもない。
「南に抜けるぞ、増援が来てくれてるはずだ」
それは希望的観測の強い判断だった。無線が途切れていたのは分かっていたし、そもそも自分達の居場所は伝えられていない。
だが希望があるのも確かだ。当初の目標である補給庫の爆破は達成し、次のステップは前線突破だと聞いている。突破した部隊が近くを通るかもしれない。
結果的にその判断は功を奏した。敵と交戦中のマズルフラッシュを見てハンターが気づいたのだ。
バトバトバトバト…
「ブラックホークだ!救援が来た!」
分隊員の1人が嬉しそうに叫ぶ。
「油断するな!目の前の敵を退けないと助からないぞ!」
ハンターがゆっくりと向きを変え始めた。ドアは開放され、ドアガンが設置されている。
ドドドドドドドド!
ヘリのローター音にもよく似た重い射撃音。着弾の衝撃で跳ねる土が追跡者に迫り、その足を止めさせた。
すかさずロープが落ちてくる。吊り下げで離脱するつもりのようだ。
「急げ!的になるぞ!」
4人は馴れた手つきで身体をロープに固定する。ハンドサインを送るとハンターは離脱を始めた。
弾倉の弾を全て撃ち尽くすまで引き金を引き続ける。ドアガンも盛大に弾をばら撒いている。
「熱っち!熱い熱い!」
頭上から降ってくるドアガンの薬莢が襟の中に入ったらしい隊員がもがいた。
「熱いのも助かった証拠だ」
分隊長の言葉に4人は笑いあった。
雨は止み、雲間から光が射し込んだ。
────────────────────
『HQこちらハンター、ゴースト3・4の生き残り4名保護。その他は不明。敵対空兵器を見つけた。離脱する』
『HQ了解』
4人を吊り下げて離脱するヘリを見送った千田が新たな指示を出す。
『スカウトは制圧点の詳細を送ってくれ、レンジャーとタイガー暫く待機だ』
『…了解』「了解」
スカウトから横田の声が聞こえてきた。
「(本当に総動員してるな…)」
仁村がそんな事を考えていると
『…制圧点確認。本補給拠点の東側50mの位置。本拠点の守りの堅さは制圧点を偽装する為と推測』
「早っ!」
横田の報告が入ってきた。驚異的なスピードに星野が驚きの声を上げた。
「横田の事だし、ずっと忍び込んでたんじゃねぇの?」
的場が冗談半分に言う。しかしあり得そうな話に仁村は苦笑いしか返せなかった。
『チャーリーこちらHQ。全力をもって目標を制圧せよ!』
本部から最終突撃の命令が下った。
目標はすぐに見えてきた。小高い丘の斜面に鉄条網や塹壕が巡り、守備が固められているのが一目瞭然だ。
「敵戦車4輌を確認しました。機関銃も多数確認しています」
偵察から帰ってきた歩兵の1人が報告する。
現在Cクラスは制圧点のある丘の麓の林に潜伏している。仁村は戦車を降りて千田と突撃作戦を立てていた。
「正面は堅そうだ…。出来るなら側面から叩きたいが。スカウト、そちらどうだ?」
『…制圧点の両翼に地雷を確認。数が多いから処理に時間がかかりそう』
「レンジャー了解。どうするよ仁村、支援射撃で地雷原に穴空けられると思うか?」
「出来なくもないが、被害が大きくなりそうだな。正面の方がマシだろう。鉄条網は踏み潰すとして、塹壕戦と戦車だな。戦車壕もあるだろうから、レンジャーには負担かかるが…」
「戦車が無けりゃ問題ない」
千田がニヤリとして言った。
「よし、それで行こう」
仁村は力強く頷くと、そのまま立ち上がり戦車に指示を飛ばす。
「小隊は横隊に展開して突撃する。最優先目標は敵戦車及び対戦車火器。戦闘用意!」
隊員が素早く準備を始めた。レンジャーも準備を進めている。
空は晴れわたり、雨に濡れた木々が光る。夏らしい日差しが照りつけていた。
────────────────────
「全車前進!」
仁村の号令で横一列に並んだ戦車が前進を開始した。少し離れた後方にレンジャーの姿もある。
『丘の両翼に敵戦車1輌ずつ確認!』
敵発見の報告が入る。隠れた敵の射程に入る前に見つけて対処しなければならない。
「1班左、2班右の戦車に当たれ。
聡、見えるか!?射程に入ったら撃てよ」
「ん~、と…確認!T-72か、掩体に入られると当てにくそうだな」
的場は木陰の掩体から砲塔だけを出したT-72を見つけた。物量を武器にするDクラスらしい低コストの戦車と言える。その平べったい砲塔は既にこちらを指向していた。
…ドッ!ォォオン
T-72の砲身が火を噴き、少し前方で土が舞い上がる。発射音が聞こえたのは着弾してからだ。
「若干射程外だ、落ち着いて撃てよ」
T-72が次弾を装填する僅かな間に確実に射程に入ったタイガー1班が同時に撃ち返す。
ドドン!
T-72の砲塔に取り付けられたバトラーが警告音を鳴らして赤いランプが灯った。撃破した合図だ。
仁村は2班がまだ激しく撃ち合っているのを見て一瞬考えたが、すぐに号令を出した。
「このまま前進、鉄条網を潰そう」
1班は塹壕に牽制射をしながら走る。鉄条網はぐにゃりと容易く潰れた。
『2班、戦車撃破』
2班も続いて鉄条網を突破する。
「RPG!聡!」
仁村が叫ぶ。前方の塹壕から頭を出した何人もの敵がRPGを構えている。
ババババババババ!
機銃を斉射して抑えようとするが間に合わない。
ドバッ!ドバッ!
すぐ近くに着弾し、車体が激しく揺れる。
激しい銃撃戦が始まった。ジグザグに走って弾を避けながら次々と射手を倒していく。
「もぐら叩きかよ!何人いるんだ!」
「当たってないっぽいぞ!」
米田が的場に知らせる。被弾して倒れているのではなく、塹壕に頭を引っ込めて弾を避けているようだ。
バリバリバリバリ
ボォン!ドバァン!
敵の機銃が射撃を始めた。もちろん戦車に向けてではない。途端に1番手前の塹壕が爆発した。いつの間にか歩兵隊が前進してきていた。
『突撃ィ!』
千田を筆頭に歩兵が突撃を開始した。歩兵隊が手榴弾を投げ込んだのだ。土煙に紛れて塹壕に襲いかかる。
バリバリバリバリ!
しかしDクラスの機銃が迎え撃つ。弾を受けた隊員が次々と崩れ落ちた。
『怯むな!塹壕に飛び込め!』
千田の檄が飛び、それに応えるように隊員が飛び込む。
「レンジャーを守れ!」
そこにタイガー1班が壁の様に立ちはだかった。厚い装甲で弾をはね返す。その隙に残りの歩兵隊員も滑り込んだ。
Dクラスもすぐに対応しRPGを構える。
が、その弾が発射される事はなかった。
「おらあああああああああああああ!!」
バリバリバリバリ!
千田がDクラスの機銃を奪い、塹壕の真横から弾をばら撒いたのだ。
弾を防いでくれる塹壕は逆に逃げられない壁として働き、なす術もなくなぎ倒された。
「千田!助かった!」
『ははは!お互い様だ!』
Dクラスの防御は崩れつつあった。
『こちら2班!敵戦車2輌!』
「固めてきたか」
見ると2班の前方に新たなT-72が2輌踊り出てきたところだった。
ドッドォン!ドドァン!
同時に4輌が撃ち合った。弾は外れたようで、互いに損傷はない。
ズドッ!
1番早く次弾を撃ったのはメルカバだった。人力による装填は練習次第で自動装填より早くなる。
メルカバの一撃でT-72が1輌沈黙した。
『回避!』
メルカバとヒトマルが急発進し、左右に分かれる。敵はヒトマルを狙うようだった。
ドッ、ドン!
再び撃ち合う。
高速で走るヒトマルにT-72の砲弾は当たらなかった。しかしヒトマルの最新鋭の射撃管制装置の加護を受けた弾は見事に命中し、T-72を撃破する。
『こちらタイガー2班、敵戦車2輌撃破。引き続き前進する』
僅か十数秒の出来事だった。
それからは瞬く間に侵攻していった。
レンジャーチームが敵を黙らせ、タイガーチームが塹壕を蹂躙するという連携であっという間に制圧してしまった。
『HQこちらレンジャー、制圧完了!各班は防御態勢をとれ!』
千田が素早く指示を出すなか、仁村は少し考えていた。
「どうも簡単過ぎやしないか?敵も少なく感じた」
「そうっすか?戦車も4輌出たし、本部に偏ってたんすよ、きっと」
「そうかな…」
星野の言葉にとりあえずといった様子で返事をした仁村は、ふと見上げた空に異物感を覚えて双眼鏡を取り出した。
「…あれ、なにかな?」
そういって米田に双眼鏡を渡す。
「どれだ?…ヘリ、っぽいな。ウチにゃ7機もねぇから敵だぞ!」
「塹壕じゃ対空戦は相性が悪いな。レンジャー!敵のヘリだ!この塹壕に誘い込んで空から殲滅するつもりだったらしい!対空火器はあるか?」
『こちらレンジャー、了解!SAMの数は少ない。全て撃墜できないかもしれない』
「こちらタイガー了解。HQ応援求む」
『こちらHQ、了解。もう出撃してるけど3分はかかるよ』
「了解」
そしてCクラスは急ピッチで防御態勢を整えた。
Dクラスのヘリは二手に分かれ、囲むように飛行し始めた。左右両方の先頭は攻撃ヘリのMi-25だ。丘の麓には敵兵も見える。
「うげ…。レンジャー!攻撃ヘリから落としてくれ!」
『了解』
ボシュゥ!ボシュゥ!
塹壕から幾筋もの煙がMi-25に向かって伸びる。それらはMi-25が派手に放ったフレアに乱され逸れた。
今度は位置のばれたSAM手が後続の汎用ヘリUH-1イロコイのドアガンに狙われる。防ぐ手段のない隊員達が逃げ惑った。
麓からの攻撃も始まり、頭も出せない。
「麓へ射撃!好きにさせるな!」
戦車3輌は麓への射撃を始めた。
Mi-25がゆっくりと戦車に向き直る。
そこで別の塹壕から煙が走る。千田はSAMを2段階に分けて配置していたようだった。
制圧点の南に展開していたヘリ隊は赤いランプを灯して射撃を止めた。しかし北に展開しているヘリ隊は健在で、攻撃の手を緩めない。
ビ────ッ!!
車内にアラートが響く。レーザー観測を受けた事を感知したのだ。いつ撃たれてもおかしくない。
仁村は素早く煙幕を張って時間を稼ぎ、仕掛けておいた作戦を発動する。
「タイガー2、攻撃目標、北側の攻撃ヘリ!」
ドォッ!
すると丘の近くの山腹で発射音がした。
Mi-25は被弾してあえなく離脱する。
残されたイロコイ達はどこから撃たれたのか分からないのか隊列を崩して離散した。
ドォッ!
再び発射音がして、また一機に撃墜判定が下る。
タイガー2ことPL-01はステルス戦車だ。レーダーに映りにくく発見されにくい為、山腹に単身隠れて意表を突き、誘導ミサイルを撃ち込んだのだ。
そこで遂に居場所がばれてしまった。
距離を詰める2機のヘリ。その判断は正しかった。近過ぎると仰角が取れず、撃つことができないのだ。
しかしミサイルが撃てるのはPL-01だけではない。レオパルト2も撃てる上に、メルカバMk.4も限定的ではあるがミサイルが撃てる。
PL-01を警戒して近づいた為にレオパルトの射程にギリギリ入ってしまった。
「撃て!」
ドッシュ!
レーザーで誘導されたミサイルは、回避行動を取ったイロコイを追いかけて命中した。
『タイガー、支援してくれ!抑えきれない!』
仁村がハッとして振り返ると近いところで丘の中腹まで敵が入り込んでいた。撃ち返せない程の弾幕のせいで容易く進入を許してしまったようだった。
制圧時間は30分を基準とし、制圧範囲内に敵がいる場合は時間がカウントされない。Dクラスを押し戻す必要があった。
「タイガー2、こちらに合流せよ。レンジャーの支援だ」
『こちらタイガー2、ヘリに積んでるのはキャリバー50だ!なかなかそちらに行かせてもらえない!』
キャリバー50に使用される12.7mm徹甲弾は装甲貫通を目的としているだけあって、戦車といえども薄い所を狙われる訳にはいかない。
「ヘリが先だ!もう1発!」
「だめだ、上手い位置にいやがって撃てない!」
イロコイはどちらからも撃たれないポイントを上手く飛んでいた。丘を下ると高度が高く、登ると真上に来てしまう。
「なら麓に引き続き射撃!塹壕に入る前の敵を狙え」
仁村はイロコイへの射撃を止め、レンジャーの支援に戻った。これには的場が驚く。
「あのヘリはどうするんだよ、このままじゃレンジャーが全滅するぞ!?」
これに無線が答えた。
『こちらハンター、目標まであと10秒。敵ヘリを確認した』
ハンターの接近に気づいたイロコイはドアガンによる射撃を浴びせる。
ハンターはそれをイロコイのコックピット側に抜けるように躱した。
更に、通り抜けざまにコックピットに向けて射撃する。
イロコイのパイロットのバトラーが赤く灯った。撃たれたパイロットの表情が驚愕に歪む。
ハンターは離脱するイロコイを尻目に塹壕に入り込んだDクラス歩兵へ射撃を開始した。
形勢は一気に逆転する。
『今だ!押し出せ!』
「前線に出てレンジャーを支援するぞ!」
タイガーが前線に躍り出て麓の敵を食い止める。そこでレンジャーが反撃に出た。
ハンターの攻撃で打撃を受けたDクラスから塹壕を奪い返す。
『こちらハンター、麓への射撃に移行する』
そう言って麓の林に近づいた。
ドッドッドッドッドッ!
林の中に隠れた敵に向かってドアガンを撃つ。目の前の林に集中し過ぎたのか、その反対にある林から出てきた敵歩兵に気づかなかった。手にしているのはスティンガーミサイルだ。
ボシュゥ!
『メィディ!メィディ!やられた、離脱する』
ハンターが本部の方に離脱してゆく。
だがハンターの活躍で再び制圧に成功し、タイマーは残り10分となっていた。
「もう少しだ!手を緩めるな!」
『弾を持ってこい!急げ!』
仁村と千田の指示が飛ぶ。
お互いが最後の粘りを見せ、激しくぶつかり合う。
弾が飛び交い、手榴弾が爆ぜ、RPGが掠め、砲弾が吹き飛ばす。
Dクラスは圧倒的な弾数で火力を発揮し、Cクラスは塹壕と機銃を活用して対抗する。
パッパパッパパパパパ~♪
膠着状態が続いたまま状況終了のラッパが鳴った。
「よっし!1回戦勝ち抜きだ!」
『よくやった!負傷者の手当てをしろ!』
『レンジャー、タイガー、お疲れ様』
おおおおおおおおおおおおおおお!!
仁村、千田、今村に続いて勝鬨が上がる。
『これにて第1試合を終了します』
こうして第1試合はCクラスの勝利で幕を閉じた。
味方の曳火射撃が降り注ぐ中Cクラスの突撃が始まった。
「横隊に展開!一気に突破する!」
4輌の虎がDクラス最前線に同時に襲いかかる。補給を断たれ弾が心許なくなってきていた最前線は戦車の突撃を受けて大きく崩れた。
『こちらゴースト1・2、対空兵器沈黙!』
『よぅし、出番だ!レンジャー!総員車に乗れ!タイガーと共に突破だ!』
そこに曳火射撃に代わってUH-60ブラックホークの援護射撃のもと、千田率いる歩兵隊が車両に乗り込み突破する。
Dクラスの第一防衛ラインは瞬く間に壊滅した。
「深追いはするな、このまま本陣まで進め!」
『いいのかタイガー?HQは今手薄だろ?』
千田の疑問にHQが答えた。
『奇襲部隊でも出てない限りは大丈夫。そんな動きは確認できてないし、拠点が攻撃されてる時に別動隊なんて出す余裕ないと思うよ』
『なるほどな、じゃあ敵本部がそれに気付いて部隊を立て直す前に攻め込まないとな』
一同は速度を上げた。
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ゴースト3の分隊長は落ち葉に潜って息を潜めていた。味方は自分の他に3人だけ。他の分隊員とは散り散りになって安否すら分からない。
「無線さえ手に入れば…」
無線手は救援要請中に撃たれてしまった。今頃Dクラスの手によって後送されているだろう。
ゴースト3・4は前線補給処の騒動を受けて強化された警備隊に追われ、なんとか爆破に成功して逃げ出したものの遂に山腹で囲まれてしまった。
精鋭を揃えたとはいえ多勢に無勢。じりじりと数を減らして、後は殲滅されるのを待つだけだ。
タタタ…タタタタ…
遠くで時折銃声がするが、すぐに止む。それがまるでカウントダウンの様に思えた。
「分隊長、前方から足音が3」
「後方からも聴こえる…」
頼りになる隊員達だが挟撃されてはひとたまりもない。
「南に抜けるぞ、増援が来てくれてるはずだ」
それは希望的観測の強い判断だった。無線が途切れていたのは分かっていたし、そもそも自分達の居場所は伝えられていない。
だが希望があるのも確かだ。当初の目標である補給庫の爆破は達成し、次のステップは前線突破だと聞いている。突破した部隊が近くを通るかもしれない。
結果的にその判断は功を奏した。敵と交戦中のマズルフラッシュを見てハンターが気づいたのだ。
バトバトバトバト…
「ブラックホークだ!救援が来た!」
分隊員の1人が嬉しそうに叫ぶ。
「油断するな!目の前の敵を退けないと助からないぞ!」
ハンターがゆっくりと向きを変え始めた。ドアは開放され、ドアガンが設置されている。
ドドドドドドドド!
ヘリのローター音にもよく似た重い射撃音。着弾の衝撃で跳ねる土が追跡者に迫り、その足を止めさせた。
すかさずロープが落ちてくる。吊り下げで離脱するつもりのようだ。
「急げ!的になるぞ!」
4人は馴れた手つきで身体をロープに固定する。ハンドサインを送るとハンターは離脱を始めた。
弾倉の弾を全て撃ち尽くすまで引き金を引き続ける。ドアガンも盛大に弾をばら撒いている。
「熱っち!熱い熱い!」
頭上から降ってくるドアガンの薬莢が襟の中に入ったらしい隊員がもがいた。
「熱いのも助かった証拠だ」
分隊長の言葉に4人は笑いあった。
雨は止み、雲間から光が射し込んだ。
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『HQこちらハンター、ゴースト3・4の生き残り4名保護。その他は不明。敵対空兵器を見つけた。離脱する』
『HQ了解』
4人を吊り下げて離脱するヘリを見送った千田が新たな指示を出す。
『スカウトは制圧点の詳細を送ってくれ、レンジャーとタイガー暫く待機だ』
『…了解』「了解」
スカウトから横田の声が聞こえてきた。
「(本当に総動員してるな…)」
仁村がそんな事を考えていると
『…制圧点確認。本補給拠点の東側50mの位置。本拠点の守りの堅さは制圧点を偽装する為と推測』
「早っ!」
横田の報告が入ってきた。驚異的なスピードに星野が驚きの声を上げた。
「横田の事だし、ずっと忍び込んでたんじゃねぇの?」
的場が冗談半分に言う。しかしあり得そうな話に仁村は苦笑いしか返せなかった。
『チャーリーこちらHQ。全力をもって目標を制圧せよ!』
本部から最終突撃の命令が下った。
目標はすぐに見えてきた。小高い丘の斜面に鉄条網や塹壕が巡り、守備が固められているのが一目瞭然だ。
「敵戦車4輌を確認しました。機関銃も多数確認しています」
偵察から帰ってきた歩兵の1人が報告する。
現在Cクラスは制圧点のある丘の麓の林に潜伏している。仁村は戦車を降りて千田と突撃作戦を立てていた。
「正面は堅そうだ…。出来るなら側面から叩きたいが。スカウト、そちらどうだ?」
『…制圧点の両翼に地雷を確認。数が多いから処理に時間がかかりそう』
「レンジャー了解。どうするよ仁村、支援射撃で地雷原に穴空けられると思うか?」
「出来なくもないが、被害が大きくなりそうだな。正面の方がマシだろう。鉄条網は踏み潰すとして、塹壕戦と戦車だな。戦車壕もあるだろうから、レンジャーには負担かかるが…」
「戦車が無けりゃ問題ない」
千田がニヤリとして言った。
「よし、それで行こう」
仁村は力強く頷くと、そのまま立ち上がり戦車に指示を飛ばす。
「小隊は横隊に展開して突撃する。最優先目標は敵戦車及び対戦車火器。戦闘用意!」
隊員が素早く準備を始めた。レンジャーも準備を進めている。
空は晴れわたり、雨に濡れた木々が光る。夏らしい日差しが照りつけていた。
────────────────────
「全車前進!」
仁村の号令で横一列に並んだ戦車が前進を開始した。少し離れた後方にレンジャーの姿もある。
『丘の両翼に敵戦車1輌ずつ確認!』
敵発見の報告が入る。隠れた敵の射程に入る前に見つけて対処しなければならない。
「1班左、2班右の戦車に当たれ。
聡、見えるか!?射程に入ったら撃てよ」
「ん~、と…確認!T-72か、掩体に入られると当てにくそうだな」
的場は木陰の掩体から砲塔だけを出したT-72を見つけた。物量を武器にするDクラスらしい低コストの戦車と言える。その平べったい砲塔は既にこちらを指向していた。
…ドッ!ォォオン
T-72の砲身が火を噴き、少し前方で土が舞い上がる。発射音が聞こえたのは着弾してからだ。
「若干射程外だ、落ち着いて撃てよ」
T-72が次弾を装填する僅かな間に確実に射程に入ったタイガー1班が同時に撃ち返す。
ドドン!
T-72の砲塔に取り付けられたバトラーが警告音を鳴らして赤いランプが灯った。撃破した合図だ。
仁村は2班がまだ激しく撃ち合っているのを見て一瞬考えたが、すぐに号令を出した。
「このまま前進、鉄条網を潰そう」
1班は塹壕に牽制射をしながら走る。鉄条網はぐにゃりと容易く潰れた。
『2班、戦車撃破』
2班も続いて鉄条網を突破する。
「RPG!聡!」
仁村が叫ぶ。前方の塹壕から頭を出した何人もの敵がRPGを構えている。
ババババババババ!
機銃を斉射して抑えようとするが間に合わない。
ドバッ!ドバッ!
すぐ近くに着弾し、車体が激しく揺れる。
激しい銃撃戦が始まった。ジグザグに走って弾を避けながら次々と射手を倒していく。
「もぐら叩きかよ!何人いるんだ!」
「当たってないっぽいぞ!」
米田が的場に知らせる。被弾して倒れているのではなく、塹壕に頭を引っ込めて弾を避けているようだ。
バリバリバリバリ
ボォン!ドバァン!
敵の機銃が射撃を始めた。もちろん戦車に向けてではない。途端に1番手前の塹壕が爆発した。いつの間にか歩兵隊が前進してきていた。
『突撃ィ!』
千田を筆頭に歩兵が突撃を開始した。歩兵隊が手榴弾を投げ込んだのだ。土煙に紛れて塹壕に襲いかかる。
バリバリバリバリ!
しかしDクラスの機銃が迎え撃つ。弾を受けた隊員が次々と崩れ落ちた。
『怯むな!塹壕に飛び込め!』
千田の檄が飛び、それに応えるように隊員が飛び込む。
「レンジャーを守れ!」
そこにタイガー1班が壁の様に立ちはだかった。厚い装甲で弾をはね返す。その隙に残りの歩兵隊員も滑り込んだ。
Dクラスもすぐに対応しRPGを構える。
が、その弾が発射される事はなかった。
「おらあああああああああああああ!!」
バリバリバリバリ!
千田がDクラスの機銃を奪い、塹壕の真横から弾をばら撒いたのだ。
弾を防いでくれる塹壕は逆に逃げられない壁として働き、なす術もなくなぎ倒された。
「千田!助かった!」
『ははは!お互い様だ!』
Dクラスの防御は崩れつつあった。
『こちら2班!敵戦車2輌!』
「固めてきたか」
見ると2班の前方に新たなT-72が2輌踊り出てきたところだった。
ドッドォン!ドドァン!
同時に4輌が撃ち合った。弾は外れたようで、互いに損傷はない。
ズドッ!
1番早く次弾を撃ったのはメルカバだった。人力による装填は練習次第で自動装填より早くなる。
メルカバの一撃でT-72が1輌沈黙した。
『回避!』
メルカバとヒトマルが急発進し、左右に分かれる。敵はヒトマルを狙うようだった。
ドッ、ドン!
再び撃ち合う。
高速で走るヒトマルにT-72の砲弾は当たらなかった。しかしヒトマルの最新鋭の射撃管制装置の加護を受けた弾は見事に命中し、T-72を撃破する。
『こちらタイガー2班、敵戦車2輌撃破。引き続き前進する』
僅か十数秒の出来事だった。
それからは瞬く間に侵攻していった。
レンジャーチームが敵を黙らせ、タイガーチームが塹壕を蹂躙するという連携であっという間に制圧してしまった。
『HQこちらレンジャー、制圧完了!各班は防御態勢をとれ!』
千田が素早く指示を出すなか、仁村は少し考えていた。
「どうも簡単過ぎやしないか?敵も少なく感じた」
「そうっすか?戦車も4輌出たし、本部に偏ってたんすよ、きっと」
「そうかな…」
星野の言葉にとりあえずといった様子で返事をした仁村は、ふと見上げた空に異物感を覚えて双眼鏡を取り出した。
「…あれ、なにかな?」
そういって米田に双眼鏡を渡す。
「どれだ?…ヘリ、っぽいな。ウチにゃ7機もねぇから敵だぞ!」
「塹壕じゃ対空戦は相性が悪いな。レンジャー!敵のヘリだ!この塹壕に誘い込んで空から殲滅するつもりだったらしい!対空火器はあるか?」
『こちらレンジャー、了解!SAMの数は少ない。全て撃墜できないかもしれない』
「こちらタイガー了解。HQ応援求む」
『こちらHQ、了解。もう出撃してるけど3分はかかるよ』
「了解」
そしてCクラスは急ピッチで防御態勢を整えた。
Dクラスのヘリは二手に分かれ、囲むように飛行し始めた。左右両方の先頭は攻撃ヘリのMi-25だ。丘の麓には敵兵も見える。
「うげ…。レンジャー!攻撃ヘリから落としてくれ!」
『了解』
ボシュゥ!ボシュゥ!
塹壕から幾筋もの煙がMi-25に向かって伸びる。それらはMi-25が派手に放ったフレアに乱され逸れた。
今度は位置のばれたSAM手が後続の汎用ヘリUH-1イロコイのドアガンに狙われる。防ぐ手段のない隊員達が逃げ惑った。
麓からの攻撃も始まり、頭も出せない。
「麓へ射撃!好きにさせるな!」
戦車3輌は麓への射撃を始めた。
Mi-25がゆっくりと戦車に向き直る。
そこで別の塹壕から煙が走る。千田はSAMを2段階に分けて配置していたようだった。
制圧点の南に展開していたヘリ隊は赤いランプを灯して射撃を止めた。しかし北に展開しているヘリ隊は健在で、攻撃の手を緩めない。
ビ────ッ!!
車内にアラートが響く。レーザー観測を受けた事を感知したのだ。いつ撃たれてもおかしくない。
仁村は素早く煙幕を張って時間を稼ぎ、仕掛けておいた作戦を発動する。
「タイガー2、攻撃目標、北側の攻撃ヘリ!」
ドォッ!
すると丘の近くの山腹で発射音がした。
Mi-25は被弾してあえなく離脱する。
残されたイロコイ達はどこから撃たれたのか分からないのか隊列を崩して離散した。
ドォッ!
再び発射音がして、また一機に撃墜判定が下る。
タイガー2ことPL-01はステルス戦車だ。レーダーに映りにくく発見されにくい為、山腹に単身隠れて意表を突き、誘導ミサイルを撃ち込んだのだ。
そこで遂に居場所がばれてしまった。
距離を詰める2機のヘリ。その判断は正しかった。近過ぎると仰角が取れず、撃つことができないのだ。
しかしミサイルが撃てるのはPL-01だけではない。レオパルト2も撃てる上に、メルカバMk.4も限定的ではあるがミサイルが撃てる。
PL-01を警戒して近づいた為にレオパルトの射程にギリギリ入ってしまった。
「撃て!」
ドッシュ!
レーザーで誘導されたミサイルは、回避行動を取ったイロコイを追いかけて命中した。
『タイガー、支援してくれ!抑えきれない!』
仁村がハッとして振り返ると近いところで丘の中腹まで敵が入り込んでいた。撃ち返せない程の弾幕のせいで容易く進入を許してしまったようだった。
制圧時間は30分を基準とし、制圧範囲内に敵がいる場合は時間がカウントされない。Dクラスを押し戻す必要があった。
「タイガー2、こちらに合流せよ。レンジャーの支援だ」
『こちらタイガー2、ヘリに積んでるのはキャリバー50だ!なかなかそちらに行かせてもらえない!』
キャリバー50に使用される12.7mm徹甲弾は装甲貫通を目的としているだけあって、戦車といえども薄い所を狙われる訳にはいかない。
「ヘリが先だ!もう1発!」
「だめだ、上手い位置にいやがって撃てない!」
イロコイはどちらからも撃たれないポイントを上手く飛んでいた。丘を下ると高度が高く、登ると真上に来てしまう。
「なら麓に引き続き射撃!塹壕に入る前の敵を狙え」
仁村はイロコイへの射撃を止め、レンジャーの支援に戻った。これには的場が驚く。
「あのヘリはどうするんだよ、このままじゃレンジャーが全滅するぞ!?」
これに無線が答えた。
『こちらハンター、目標まであと10秒。敵ヘリを確認した』
ハンターの接近に気づいたイロコイはドアガンによる射撃を浴びせる。
ハンターはそれをイロコイのコックピット側に抜けるように躱した。
更に、通り抜けざまにコックピットに向けて射撃する。
イロコイのパイロットのバトラーが赤く灯った。撃たれたパイロットの表情が驚愕に歪む。
ハンターは離脱するイロコイを尻目に塹壕に入り込んだDクラス歩兵へ射撃を開始した。
形勢は一気に逆転する。
『今だ!押し出せ!』
「前線に出てレンジャーを支援するぞ!」
タイガーが前線に躍り出て麓の敵を食い止める。そこでレンジャーが反撃に出た。
ハンターの攻撃で打撃を受けたDクラスから塹壕を奪い返す。
『こちらハンター、麓への射撃に移行する』
そう言って麓の林に近づいた。
ドッドッドッドッドッ!
林の中に隠れた敵に向かってドアガンを撃つ。目の前の林に集中し過ぎたのか、その反対にある林から出てきた敵歩兵に気づかなかった。手にしているのはスティンガーミサイルだ。
ボシュゥ!
『メィディ!メィディ!やられた、離脱する』
ハンターが本部の方に離脱してゆく。
だがハンターの活躍で再び制圧に成功し、タイマーは残り10分となっていた。
「もう少しだ!手を緩めるな!」
『弾を持ってこい!急げ!』
仁村と千田の指示が飛ぶ。
お互いが最後の粘りを見せ、激しくぶつかり合う。
弾が飛び交い、手榴弾が爆ぜ、RPGが掠め、砲弾が吹き飛ばす。
Dクラスは圧倒的な弾数で火力を発揮し、Cクラスは塹壕と機銃を活用して対抗する。
パッパパッパパパパパ~♪
膠着状態が続いたまま状況終了のラッパが鳴った。
「よっし!1回戦勝ち抜きだ!」
『よくやった!負傷者の手当てをしろ!』
『レンジャー、タイガー、お疲れ様』
おおおおおおおおおおおおおおお!!
仁村、千田、今村に続いて勝鬨が上がる。
『これにて第1試合を終了します』
こうして第1試合はCクラスの勝利で幕を閉じた。
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