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招待状

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「テメェは誰に向かってそんな口利いてんだコラ。わけわからねぇ言いがかり付けてると、女だろうが容赦しねぇぞ」


女性の言葉に、明らかに怒った様子の、明らかに堅気ではない様子の男性がゆっくりと立ち上がり、何かを探すように自分の身体をまさぐってポケットから何かを取り出した。


「そ、そうだ。どうしてこんな所にいるかはわからないが、早く会社に連絡しないと」


バーコードハゲの男性も、慌てた様子でポケットからスマホを取り出して、どこかに連絡しようとしているようだ。


そんな中で、真治は考え込んでいた。


いじめっ子から追い掛けられていて、それから逃げるようにしてこの場所で目を覚ました。


もしかすると、居場所がなかった自分を、どこかの誰かが逃がしてくれたんじゃないかと。


「どうして私が文句言われなきゃならないのよ!  それにここはどこよ……って、もしかして東京?  これってスカイツリー?」


「バカか。スカイツリーなら遠くに小さく見えるだろうがよ。お前さては田舎者……ってなんだこりゃあ!  おいおい、東京になんでこんなわけわからねぇ物があるんだよ!」


怒りながら白い塔を見上げた女性と、その女性をバカにするしようとした極道っぽい男性だったが、東京には本来ない物がここから見えるみたいだった。


真治も東京に来たことは二回しかなく、その違和感にはあまり気付いていなかったが、自分が住んでいる県から大都会東京までどうやって移動したのかはわからないままだった。


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