東京バベルブレイカー～殺戮都市バベル～

招待状

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「何やってるのよ！  早く逃げなきゃ！  あんたも死ぬよ！」


そんな真治の腕を掴んで走り出したのは明美。


こんな所で死にたくは無いと、結婚を控えている明美からすれば当然思うことだろう。


「そうだ。それでいい。今は逃げろ。そして、ようこそ。この最悪でクソッたれた世界に」


男性はそれを見て微笑み、小さくそう呟いた。


「うひょひょっ！  死ね死ね！」


そんな男性に、人の群れから飛び出した男が、ショートソードを振り被って飛び掛かる。


だが次の瞬間、ショートソードの男は身体が上下に千切れ飛んで、光の粒へと変わったのだった。


「……俺に死ねって言ったか!?  何万集まっても俺に勝てねぇクソ雑魚共が！  俺はヒーローだ！  ヒーローの邪魔をするやつは悪者って決まってんだよ！」


右手には円錐型の槍、ランスを、左手には特殊な形のナイフを持ち、人の群れへと凄まじい勢いで走って行く。


男性が通った道が光で溢れ、勇ましかった人の群れの雄叫びが悲鳴へと変わって行くのを背後に聞きながら、明美と真治は必死に走った。


足を止めれば、鬼頭やバーコードハゲのように殺されてしまうかもしれなかったから。


「何よ、何なのよこれ！  何が起こってるのよ意味がわからない！」


走って走って、誰も追って来ていないことを確認した二人はそこでようやく足を止めた。


不思議なことに、かなりの距離を全力疾走したというのに息が全く乱れておらず、疲労もほとんどなかったのだ。