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招待状

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「あ、あの人は……俺達を逃がしてくれたあの人は大丈夫ですかね。それにしても、俺達を殺そうとする人達がいたり、助けようとしてくれる人がいたり……何がなんだか」


「大丈夫なわけないじゃない。あんな大勢の人を、どうやって一人でどうにかするって言うのよ。それより真治くん。あなたそんな立派な武器を持ってるんだからどうにか出来なかったわけ?」


今、一人ではどうにもならないと言ったばかりなのに無茶を言うものだと真治は呆れたが、実際に何も出来なかったのだから反論など出来ない。


「む、無茶言わないでくださいよ、あんな危ない人達をどうにかなんて……それより、俺達はこれからどうすればいいんですかね。ここ、高速道路ですよね。どこか降りる所がありませんかね?」


自分の身長よりも高いフェンスに囲まれ、ビルが並び建っていることから、結構な高さがあることが窺える。


「そんなのわかるわけないじゃない。あーあ。なんでこんなことになったのよ……本当なら今頃、彼の実家に到着してたのに。真治くんだって学校でしょ?  青春真っ只中じゃない」


明美にそう言われ、真治の胸がチクリと痛んだ。


青春と言うには、いつもクラスメイトにいじめられていて、逃げてばかりだったから。


ここに来る前も、逃げ出してしまおうと考えていたから、戻りたいかと言われたら微妙だった。


「ど、どうですかね。青春だからって、必ずしも良いとは限らな……」


幸せの真っ只中にいたであろう明美から目を逸らし、近くのビルに目を向けた真治は……それと目が合ってしまった。
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