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戦闘行為

system_0043

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「いてぇ!  いってぇ!  なんだよ!  一体どこから!」


腹部にボルトが突き刺さり、悶える男性に、思い出したかのように新崎が飛び掛かった。


「誰が童貞だ!  お前らみたいな陽キャは大嫌いなんだよ!  死ね!  死ね!」


うずくまっている男性の首に、容赦なく新崎のナイフが突き刺さる。


二度、三度と素早く突き刺し、光の粒へと変化したと同時に大きく後方に飛び退いた。


「大輝と瑠奈が殺られた!?  おい、蓮司、お前はこの童貞を殺れ!  俺はあの家のベランダに行く!」


今の攻撃から、奈央と明美がどこに潜んでいるかを割り出したのは優秀だと言える。


「OK。あいつらがいたら分け前が減るから丁度良かったぜ。おっさん、遊んでやるよ」


この集団のリーダー格の男が、新崎の相手をもう一人の男性に任せて、ニヤリと笑ってベランダを見詰めた。


……まずい。二人の居場所がバレてしまった。


未だ生垣に隠れている真治の心臓は、もう爆発寸前というところまで激しく脈打っていた。


日本刀を握る手に、大量の汗をかいている。


このまま動かなければ、自分は助かるかもしれないという考えが何度も脳裏を過ぎる。


新崎がピンチになっても飛び出さなかったのは、作戦を守っていたからではない。


真治は、死にたくもなければ人を殺すのも出来なかっただけだった。
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