東京バベルブレイカー～殺戮都市バベル～

戦闘行為

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それは、計算していたものではなかった。


強い人間であれば、逆にそんな行動は取らずに回避行動を取ろうとしたであろう。


弱いから、いじめられていた真治だからこそ、防御行動が誰よりも早かったのだと言える。


左手に鞘を握り締めたまま顔の前に上げた真治は気付いた。


トマホークが弧を描いて迫り、ゴツッと音を立てて鞘と接触した時に。


このまま弾いて軌道を美優に向けられればと。


「う、うわっ！」


戦闘経験のない真治にとって、そんな器用な調整など出来るはずがない。


だからこそダメで元々、思い切って鞘を振り上げてトマホークを上空に弾き飛ばしたのだ。


「えっ!?」


あまりにも予期せぬ行動に、美優の行動が遅れる。


と言うよりも、空中に逃げたことで身動きか取れなくなってしまったという方が正しかったのかもしれない。


クルクルと回転をしながら迫ったトマホークを弾くことも出来ずに、左腕が肘辺りで切断されてしまったのだ。


「くっ！  油断した！  まさかそんなことを！」


落下中に真治の肩を蹴り、後方にクルリと回転しながら着地した美優は、切断された腕を見て顔を歪めた。


「油断ですか。じゃあ、もう余裕はなくなったという……」


上手く行けばこのまま追い払えるかもしれないと、真治は皮肉っぽく言おうとしたが、自分の首に迫る純度の高い殺意に、言葉はそこで止まってしまった。