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戦闘行為

system_0059

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その気配は美優と真冬だけでなく、真治と奈央も気付いたようで、あまりにも圧の強いそれに身震いをしてしまう。


「新人一人に東軍の星4レアが二人、寄ってたかっていじめてるとはねぇ……それでこそ殺戮都市バベルだぜ」


低く、重い声。


真冬の殺意も純度が高かったが、それでもこの人物の殺意と比べたらまだ雑味が混じっているのがわかるほどの研ぎ澄まされた殺意だ。


「ヤバい……真冬、こいつはまずいよ」


「噂話だけでしか聞いたことがなかったけど……まさかこいつが?」


その姿に、真治は見覚えがあった。


スーツをラフに着崩し、一見やる気のなさそうな姿だが、目だけは飢えた獣の様な凶暴性を秘めている。


「俺か?  俺はヒーローだ。つまりお前らは悪者ってことで……死ねっ!」


真治が反応するよりも早く、手にしていたランスを真治の肩口に突き付けて、背後にいる真冬へと牽制の一撃。


いや、この一撃で命を刈り取りに行ったのだが、そこは流石に星4レアと言うべきか。


ギリギリのタイミングで身体を後方に反らし、ランスが顔をかすめるだけで回避したのだ。


だが、真治の日本刀がかすった時とはダメージが明らかに違う。


まるで大火傷でもしたかのように、摩擦で皮膚が焼けていた。


慌てて真治の背中を蹴って後方に飛び退いた真冬は、頬に手を当てて美優と顔を見合せた。
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