上 下
74 / 682
戦闘行為

system_0074

しおりを挟む
「くそっ!  奈央さんを離せよ変態野郎!  その手を離せっ!」


いくら叫んでも、動こうとしても四肢のダメージが酷くて思うように身体が動かない。


「奈央さんと言うのか……サーチする手間が省けたぜ。ありがとうよ坊主。奈央さんは朝まで俺がたっぷりと堪能させてもらうぜ!  がーっはっはっはっは!」


前田のその勝ち誇った笑いを、真治は悔しそうに顔を歪めて見ていることしか出来なかった。


運良く数人を倒せたからといって、調子に乗っていたわけではない。


この前田という男は今の真治では勝てない相手だったということ。


奈央胸を揉みしだき、笑い続ける前田。


「がーっはっはっはっ……は?」


だが、その声は唐突に聞こえなくなったのだ。


地面に倒れる真治の目の前で、前田が奈央を立たせているのはわかったが、その前田の首が胴体から離れて落下を始めていた。


何が起こったのか、全くわからなかったが、支えを失ったかのように前田の身体と奈央が地面に倒れ込んだ。


そして、パアッと光の粒に変わって路地を照らして……道の奥に誰かが立っていることに気付いた。


「いやあ、儲け儲け。背中を向けてて隙だらけだったから思わず殺しちゃったよね。いぇいいぇーい!」


やけに軽いノリで、満面の笑みで真治と奈央の方に歩いて来たのは……ベリーショートで眼鏡をかけた、やけに胸の大きな女性だった。
しおりを挟む

処理中です...