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死神と荒獅子

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「え?  ああ、おっぱい揉まれたやつね。別にどうだっていいよあんなの。この街じゃさ、強い人間が全てを手に入れて、弱い人間は何されても受け入れるしかないんだよ。私が知ってる限りだと、70歳近いおばさんが、20歳くらいの男の子を性処理に使ってたりするからね」


浴室に行き、浴槽に湯を張りながら、奈央はさも当然のように答えた。


性に対して経験がない真治にとって、その話はあまりにも未知の世界で、想像すら出来なくて。


「じゃあもしも……あの時に吹雪さんが助けてくれなかったら……」


「今頃、真治くんは殺されて、私はあのゴリラとセックスさせられてたんじゃない?  性欲強そうだったもんねあいつ」


あっけらかんと答えた奈央に、真治はどんな感情を持てば良いのかがわからない。


それを想像して興奮してしまいそうだったが、その前提条件は自分は殺されているのである。


槍で刺された痛みと、そこから殺されていたかもしれないという事実が身震いを起こさせた。


「真治くんももっともっと強くなれば、そういうことが出来るかもね。中には、強い人に自分から擦り寄る人もいるから。男でも女でもさ。なんなら、その時に困らないように私が相手してあげようか?」


浴室から真治がいる部屋に移動した奈央は、後ろで一つに束ねている髪を解いて満面の笑みでそう尋ねたのだ。
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