東京バベルブレイカー～殺戮都市バベル～

死神と荒獅子

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まさかの問いに驚いたのは真治の方である。


確かに奈央は美人で、髪を解いた姿はまた印象が変わって妙な気持ちになってしまうが、喜んで飛び付くほどの勇気もなければ、その理由もわからない。


「な、な、なに言ってるんですか！  からかわないでくださいよ！  な、奈央さんのパートナーは新崎さんでしょ。おかしなことを言わないでください」


「はぁ？  なんでそこで一馬が出てくるわけ？  まあ、あの人は優しいけどさ。私を置いて逃げることもあるし、平気で見捨てるし。その点、真治くんは私を守ろうと頑張ってくれたから。それとも年上は嫌だったりする？」


「そ、そういうわけじゃないですけど……と言うか、新崎さんとはそういう関係じゃなかったんですね」


真治は理解した。


今のこの状況では、何を言っても奈央のペースに引きずり込まれてしまうであろうということを。


隣に座って膝を抱える奈央に、戦いの中では感じる余裕すらなかった色気が、経験のない高校生である真治を惑わせる。


しばらく無言になり、少しでも肌が触れてしまえばもう止められないであろう空気。


そんな静寂を破ったのは、真治の膝を叩く音だった。


「よ、よし！  血を流したいから先にシャワーを浴びさせてもらいますね！  あ、へ、変な意味じゃないですからね！」