上 下
116 / 682
死神と荒獅子

system_0116

しおりを挟む
黒井が弾かれたことにより、死神の腹部を貫いていたランスが消える。


僅かに血が流れたが、まるで魔法のようにその致命傷は完全に治り、破れたライダースーツの下に綺麗な白い肌が現れた。


「やれやれ。だからメリットなどないと言ったのだ。このレベルの戦いならば瞬間回復は必須。ソウルを3つも無駄にしてしまうのだからな」


真治は思い出した。


じわじわと回復する普通の回復と、もっと強くなったら解放されると言われた回復法。


それが瞬間回復なのだと。


死神の一撃により地面を転がった黒井が、頭を押さえてフラつきながらゆっくりと立ち上がる。


ボタボタと赤い液体を垂らしながら、顔を上げた黒井は……左の頬の肉が削げ落ち、骨も粉砕されているのか苦痛に顔を歪めていたのだ。


頭部が吹き飛ばなかったのは黒井の強さだと言えるだろう。


攻撃が当たる直前に顔を反らして直撃は避けたが、かすってしまい肉と骨を持って行かれた。


これがこの街の最高峰の強さを持つ者同士の戦いなのだと、真治はただ震えるしか出来なかった。


ポケットから慌ててPBMを取り出し、黒井も瞬間回復をする。


「すまないな、どうやら一撃で終わると言ったのは誤りだったようだ。ここまでやるとは思わなかったぞ黒井。私の服もこの通り、随分涼しくなってしまった。今度こそ次の一撃で仕留めさせてもらうぞ」


しおりを挟む

処理中です...