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死神と荒獅子

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~その頃、別の場所~


「い、池田さん!  し、死神が現れました!  オークション会場はめちゃくちゃで……それで……」


とあるマンションの一室。


そこのドアを勢いよく開けて部屋の奥に入った男は、ベッドの上で裸の男女が絡み合っている場面を見て凍り付いた。


「……チッ。なんだなんだ?  せっかくクライマックスだったってのによぉ。汚ぇ野郎の声でシナシナに萎えちまったじゃねぇかよ」


池田と呼ばれた男は女性を横に退けると、前を隠そうともせずにベッドから起き上がり、男の前に歩み寄った。


「で?  しっかりぶっ殺したんだろうな?  いや、待てよ?  死神と言えばエロい身体をしてるって聞いたことがあるな。だったら捕まえた方が色々楽しめるか。それでどっちだ?  殺したのか捕まえたのか」


まずいタイミングで部屋に入ってしまったと、男は腰を抜かして壁際で迫る池田を見上げて首を横に振った。


「す、すみません。逃げられました。死神と殺し屋がいて……会場にいた観客も含めて。あ、で、でも、南軍のガキも一緒に逃げたって言ってました。写真は撮ったみたいですから後で送らせます」


「逃げられた?  殺せず捕まえられず。しかも裏切り者のガキがいるってのか?  良くないねぇ、そりゃあ良くない」


ブランブランと男の目の前で揺れる物体が、今にも触れてしまいそうで恐怖する。


「あ、あ……当たる……当た……ぶりゅん!」


だがその次の瞬間、男の頭の上に池田の拳がめり込んで光の粒へと変わった。


手にはメリケンサック。


「そのガキがどこのどいつか、調べてぶっ殺さねぇとなぁ。俺に逆らうってことは、俺の敵ってことだからな」
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