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死神と荒獅子

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だが、真治が発した言葉に反応した死神が、何か気に触ったのか真治の前に歩み寄った。


「敵に死神と呼ばれるのは構わないが、そうでない者に呼ばれるのはあまり良い気分はしないな。先程サーチしたならわかっているだろう。私は恵梨香。北条恵梨香だ」


「ご、ごめんなさい。恵梨香さん」


「よし。いいだろう。吹雪、少年にIDを教えてやれ。軍が違うから通信は出来ないが、近い距離にいればサーチは出来る。もしも知り合いに強いやつがいたら教えてくれ。私達の仲間に相応しいか確かめてやる」


PBMを取り出し、真治に近付いてフレンド登録のやり方を教えた吹雪。


恵梨香ともフレンド登録をして、これである程度の距離ならフレンドサーチに引っ掛かるということだった。


「あの……二人が目指そうとしてるあの塔には何があるんですか?」


「それはわからない。かつてあの塔を目指した者達はいた。だが、誰も帰ってこず、この街に変化は何もなかった。死が蔓延するこの街の秘密があるかもしれない。そう信じているから、私達はあの塔を攻略する強い仲間を求めているのだ」


恵梨香の言葉は、真治の心を激しく揺さぶった。


人と人が殺し合うだけの街で、それ以外の道を探そうとしているように思えたから。


確かに強くなる為には人を殺さなければならないし、精神耐性があるとはいえ、人を殺すことに抵抗が全くなくなったわけではない。


それでも、黒井と恵梨香の戦いを見て、心に熱い感情が湧き上がり初めていた真治の口からは強い言葉が飛び出した。


「俺も……俺も連れて行ってください!  もっともっと強くなって、俺も一緒にあの塔に!」
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