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西の地で

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「ハロー、エブリワン」


「って、めちゃくちゃいるじゃないですか! どうするんですかこれ!」


パッと見る限り、50人近い男女が武器を持って待ち構えていたが、内藤はその前に立ってペコリと頭を下げると鎖鎌の鎌の部分を投げ付けたのだ。


驚く間も、状況を整理する間も与えられない。


超流動的な状況の変化に、奈央も真治も武器を握り締めて後ろを付いて動くのがやっとだ。


「こいつ! ふざけた格好のくせに動きが速いぞ! 小太りのおっさんのくせによ!」


「小太りの変態なのに速いよ!  気を付け……げぶっ!」


投げ付けた鎌は罠だった。


あえて集団の中に、回避出来るギリギリの速度で投げ付け、伸び切ったところで一気に引く。


小太りだと馬鹿にしていたやつらを、高速で背後から刈り取る騙しの攻撃だ。


たった一度の攻撃で四人は死んだだろうか。


それに驚いた者に、今度は反対側の分銅が打ち付けられ、直撃を受けた頭部がまるで割れた卵のように中身が飛び出して光の粒へと変わったのだ。


「つ、強い! あんな格好してるけど、それが相手の油断を誘っているなんて!」


「口だけじゃなかったのね。自分でプロを名乗るだけのことはあるわね」


これには真治と奈央も驚きを隠せなかった。


人は見た目によらないと言うが、これほどこの言葉が当てはまる人を見たことがなかったから。


「くそっ! 囲め! こんな小太りに舐められてたまるかよ! 一斉に行くぞ! 後ろのやつらもまとめて潰せ!」
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