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西の地で

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「ギャンッ! ウグゥゥアァァァァゥッ!」


しかし、そうなっては解こうとするのは当然。


鎖にぶら下がりながら、内藤は身体を回転させて鎖を捻ったのだ。


普通にしていたら簡単に解かれるから、輪っかにした鎖を捻じることで解けないようにしたということだ。


「ヘイ! 今だ集中攻撃をしてくれ!」


内藤の合図を皮切りに、三人が一斉に攻撃を加え始める。


ポーンの正面、体毛が比較的薄い部分は腹部で、そこに攻撃を集中させてはいるものの、いかんせん武器のレアリティが足りない。


星5レアの真治でさえ、体毛を数本切断する程度なのだから、それ以下の三人では無理からぬことだ。


里奈は内藤と同じく星3レアの鎖鎌で、三葉もまた、星3レアの鞭だったから。


日本刀を構えて、正面に回り込んだ真治が振り向きざまにポーンの腹部に刃を滑らせるが、これもまた体毛を数本切断するだけで効果的なダメージを与えられたとは言えなかった。


「何度やっても毛が邪魔で!」


「真治くん! 多分斬ってもダメ! 突くの!」


地面を滑りながら速度を殺し、日本刀の切っ先に目を向けた。


なるほど、斬撃がダメでも、この一点に集中する突撃なら多少なりともダメージを与えられるかもしれない。


日本刀で突く為に切っ先をポーンに向け、地面を強く蹴って駆け出した。
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