上 下
159 / 682
西の地で

system_0159

しおりを挟む
素早く接近した真治が腕を伸ばし、体毛が薄い腹部へと日本刀の先端が突き付けられる。


それは体毛を掻き分け、表皮に到達した……と思われた刹那。


ポーンがそれよりも早くに後方に倒れ、内藤を下敷きにすると同時に日本刀の突撃を回避。


さらには足で真治の腹部を蹴り上げたのだ。


「うっぎゃあああああああっ!」


「ぐえっ!」


内藤と真治の悲鳴が響く。死んではいないとはいえ、ポーンの攻撃を同時に食らい、そして同時に二人の攻撃を回避したのだ。


ポーンの下敷きになった内藤は鎖鎌から手を離してしまい、首を絞めていた鎖が消える。


蹴り上げられた真治は空中に舞い、身動きが取れない状態だったが、そんな真治の足首に違和感が。


なんと三葉の鞭が巻き付いていたのだ。


「まだ終わりだなんて思ってないわよね? キミも、ポーンもさ」


不敵な笑みを浮かべたかと思った次の瞬間、真治の身体はポーンに叩き付けられるかのように引っ張られた。


身動きが取れなくなった真治の脚に鞭を巻き付け、強引に戦闘へと引き戻す。


無茶苦茶だと思いはしたが、自分で走るよりも勢いが付いていることを感じ、真治は日本刀をポーンの腹に向けた。


そして……。


グジュッという感覚と共に日本刀の先端がポーンの腹に突き刺さったのだ。
しおりを挟む

処理中です...