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西の地で

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「もしそうだったらどうする。殺すつもりか」


「いや……違うね。あの女は俺がもらう。そしてお前はここで死ぬ」


「そうは……させない!」


握り締めた日本刀を、意志を示すかのように沼沢に突き付けた真治だったが……恐怖の片鱗を味わうことになる。


気付けば何故かうつぶせに倒れていて、頭を地面に押し付けられていたのだ。


メリメリと音を立て、アスファルトにヒビが入るほどの衝撃。


目の前にいたと思ったのに、いつの間にか地面に叩き付けられている。


頭部に感じる強烈な痛みに身悶えながら、そう思うと同時に沼沢の声が耳に届いた。


「お前ごときが守れると思うか。強ければ奪い、弱ければ奪われる。そしてお前は弱い」


地面を舐める真治の目に、沼沢の腕に巻き付けられていた鎖がジャラジャラと音を立てて地面に触れたのが見えた。


この鎖は……先端に付いている分銅は見覚えがある。


「く、くそっ!」


押さえ付けられながらも、右手の日本刀を振って沼沢を斬り付けるが、まるで児戯だと言わんばかりに顔色一つ変えずにそれを回避。


急いで起き上がった真治だったが、呆れたようにため息をついた沼沢を睨み付けるのが精一杯だった。


「あんたもしかして、ポーンと戦ってた時に助けてくれたんじゃないのか。その鎖分銅、見覚えがある」
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