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罪と罰

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ガリガリガリと、ヤスリのような床が真治の身体を削る。


上に乗られたままでは次の動作も先手を取られてしまうと判断し、思い切り柄頭を床に叩き付けて、身体を横に回転させて上に乗っている池田目掛けて刃を滑らせた。


だが、その攻撃を察知した池田は素早く飛び退き、真治が立ち上がると同時に着地したのだ。


「お前は俺には勝てねぇ。だから好きな方を選ばせてやろう。死神の居場所を言え。俺のオークションを滅茶苦茶にした死神の居場所さえ言えば、仲間とお前に用はねえ。解放してやる。だが、それを言わねぇならお前は敵だ。お仲間共々ここで死ぬことになる。どうだ? これが最後の譲歩だ」


飽くまでも強気。だが、池田は肩で息をして余裕があるとは言えない状況だった。


そして真治も余裕など全くない。この街に来て初めての、戦力差がほとんどない相手との戦いに疲労を感じていた。


「はぁ……はぁ……それで見逃してもらえるなら教えたいところだけど、残念ながら俺はあの人がどこにいるかなんて知らない。南軍にいるかどうかもわからない。でも新崎さんは返してもらう!」


「はっ! そうかよ。だったら道はねぇ。お前をぶっ飛ばして、新崎が死ぬ所を目に焼き付かせてやるぜ!」


会話をすることで自動回復する時間稼ぎをしたのだろう。


池田は呼吸を落ち着けて拳を握ったが、それは同じ軍である真治も同じだった。
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