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罪と罰

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が、その動きは甲高い金属音と共に止められた。


真治も明美も、何が起こったかわからない。


ただ、目の前で真治の日本刀は動きを止め、二人の横に一人の人物が立っていることに気付いただけ。


「はいはい、そこまで。またおかしなことやってるから暴れちゃおうかと思って見てたら。ダメだよ少年。仲間を殺す行為は心を殺す行為だ。少年がその道に踏み入るのはやめた方がいい」


そう言って、チャクラムで日本刀を受け止めていたのは吹雪だった。


「ふ、吹雪さん!? だ、だけどこの人は! この人は俺達の恩人である人を!」


「はっ! ほら、同じ女性のこの人はわかってくれてる! 私は悪くない! 弱い新崎さんが悪いんだよ! 弱いくせに先輩風吹かせてさ! 強い人に付くことは何も間違っちゃいない! 死ぬくらいなら、何をされても生きていられた方が良いに決まってる!」


吹雪が真治止めたことを、自分は正しいと勘違いしたのだろうか。


日本刀が下ろされるのを見て、堰を切ったように言いたいことを吐き出した明美に、ニコニコしながら吹雪が近付いて。


そして強烈な平手打ちを放ったのだ。


「さっきから聞いてりゃあんた。人のせいにしてばかりで死ぬよりマシとか、誰が弱いとか。弱けりゃ死ぬのはこの街じゃ当たり前だろ! 生きたきゃ強くなるしかないんだよ! 甘ったれてんじゃないよ!」
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