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罪と罰

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その声は、真治にとってはとても受け入れられるものではなかった。


なぜ人が死んで喜んでいる人間がいるのか。


なぜ新崎が死ななければならなかったのか。


なぜ……明美はこうも簡単に仲間を殺せるのか。


「あんたは……あんたは何をした! 答えろ広崎明美! そんなに俺が憎いかよ! あんたは恩人である人を殺したんだ!」


真治の言葉にビクッと身体を震わせながらも、明美は首を横に振って睨み付けて口を開いた。


「あんたが奈央を連れて行かなければ、私はこうはならなかった! 強い人に付くことの何が悪いのよ! 私だっていい夢を見たいのに、あんたはそれもぶち壊しにした! どうして私があんたの思う通りに生きなきゃならないのよ!」


そしてボウガンを構えて真治に向けてボルトを撃ったのだ。


「何でもかんでも人のせいにするなっ! あんたは自分のやったことの責任も取らないのかよっ!」


日本刀でボルトを叩き落とし、明美に向かって駆け出した真治。


頭が真っ白になり、目の前の人間を斬ることしか考えられなかった。


「あんたの正義と私の正義は違う! 自分の正義を押し付けないで!」


強く、恨みがましい目で真治を睨み付けたまま微動だにしない。


そんな明美の頭部に日本刀が振り下ろされた。
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