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厳しい優しさ

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「素顔が知られれば、ヘルメットを脱いだ時も気が抜けなくなる。そして何より、頭部への攻撃から守ってくれるからな。防具として付けているから、これを取る必要がないのだ」


完全に戦い前提の考え方だ。だからこそ、賞金首ランキングが1位なのだろうと、考えずとも勝手に頭の中で結び付く。


「そ、そのわりに吹雪さんは素顔ですけど……」


「吹雪は私のサポートだからな。私が目立てば、吹雪に視線は向かなくなる」


確かに、恵梨香のインパクトが強過ぎるから吹雪になかなか目が向かない。


自分が目立てば、周りの影が薄くなる。そうなればその人達の生存率は上がり、サポートの攻撃も通りやすくなる。


西軍に攻めた時も、内藤が目立っていたのと同じなのだろう。


そこまで考えて、内藤に恵梨香の捜索を頼んでいたことをすっかり忘れていたことに気付く。


見付けたら教えてくれと言われたが、教えたら教えたで嫌な予感がするからとりあえず保留するべきだと、真治は悩んだ結果忘れることにした。


しばらく歩いて、吹雪がいるマンションに到着。


階段を上って廊下を歩き、部屋に入ると寝室の前で立ち止まった


「えっと……ここにいます。入ってください」


「案内すまんな。だが……どうして少年は入らない? 吹雪がここにいるんだろう?」


確かに吹雪はいるが、全裸で寝ているというのがわかっているのだ。


そんな中に入る勇気はなかった。
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