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厳しい優しさ

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斬れ味だけではなく、刀身が半分になっているのは真治とっては想像以上に辛く思えた。


いつも、刀身の先端で攻撃していたからか、この状態だとさらに踏み込まなければならなくなるから。


「死ね!ガキが!」


一人倒しても休んでる暇はない。


次から次へと押し寄せる人の波に、飲まれないように気を付けなければ飲み込まれてしまいそうになる。


軽く飛び上がってハンマーを振り上げた男に詰め寄り、その隙だらけの腹部に刃を当てた。


引くと同時に、男の上半身と下半身が分断される。


手応えが重いと感じるが、そこは腐っても星5レアと言ったところか。


彼らの武器のレアリティがどれくらいかはわからないが、一斉に襲い掛かって来るような人間は真治の敵ではない。


深く飛び込んでひと振り。


西軍でやったような感覚で戦えるかと思ったようだが、三人ほど斬り捨てた所で、手に加わる抵抗が大きくなって動きを止めた。


仕留め切れなかった人達は、真治の脇を通って先へと進む。


たった一人に時間なんて掛けていられないという事だろう。


防衛の方が有利には違いないが、レベル差があればどちらでも関係はない。


ビリビリと、誰にというわけでもなく向けられた大量の殺意が、真治を飲み込もうとしているのを感じていた。
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