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厳しい優しさ
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しおりを挟む「え? 真治!? ここにいた人達は!?」
「て、敵だと思って。で、でも、襲われたから仕方なく……」
先に手を出したのは真治ではなかったが、総力戦の最中にこんな事態を予測して殺さないというのは不可能に近い。
敵同士なのだから考えなくてもわかることだったが、それでも理沙は真治の手を握った。
「そっか……でも、仕方ないよね。東軍と南軍なんだから」
そう言った理沙の表情を見て、真治の胸が締め付けられる。
つまりそれは、二人も敵同士で殺し合わなければならない運命なのだと言われているようだったから。
特別なのは、その強さで他人の意見すらねじ伏せることが出来るだ、恵梨香や黒井といった強者だけなのだ。
「ご、ごめん……理沙を守ってるなんて知らなくて。なんて、謝っても許される事じゃないよな」
あの二人が理沙とどのような関係性なのかは、真治には想像のしようもない。
ただ、仲間を殺したという事実は変わらないのだ。
「……どうして私を殺さなかったの? 寝てたんだから、殺そうと思えば簡単に殺せたのに」
「こ、殺せるわけないだろ。幼馴染みなんだからさ」
確かにその言葉はひとつの答えではあるだろうが、本心はそうではない。
幼い頃よりずっと好きだった人を殺すなど、真治に出来るはずがなかっただけだ。
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