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持つべき信念

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「お、おいおい、嘘だろおい!!」


真治を追い掛けるポーンの数に比例して、とてつもない圧の恐怖が襲い掛かる。


ドドドドドドドと地鳴りのような足音と共に、筋骨隆々なポーン達が迫る光景はあまりにも迫力があり過ぎる。


夢でもこんな不気味な光景には、なかなかお目にかかれるものではない。


恵梨香と吹雪は、真治の遥か前方にいて、もう光の壁を越えて西軍に入ろうとしていた。


そして西軍に入ってしばらく走ると、あるラインを超えたと同時に二人を追っていたポーンの多くが、追うのを諦めて真治の方を向いたのだ。


「おいおいおいおいおい!! ふざけるんじゃないよ!!」


予想していなかったポーンの動きに、このまま突っ切るべきなのか、それとも別のルートに変更すべきかを考えようとするが、悩んでいる暇など全くなかった。


この状況で考えたとしても、ろくな考えが浮かぶとは思えず、真治の頭には強引に突っ切ることしか考え付かなかった。


前方にはポーンが四匹。背後には恐ろしい数のポーン。


後退するという選択肢など有り得なかった。


日本刀片手に、速度を保ったまま西軍へと走る。


二人が足を踏み入れ、ポーン達が追うのを諦めた場所までの距離は50メートルもない。


だが、今の真治にとってはとてつもなく長い距離に思えただろう。


前方にいる、一番近くにいたポーンが真治に向かって腕を伸ばして迫った。
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