319 / 682
持つべき信念
system_0319
しおりを挟む
奈央を救出するという思いで西軍にやって来たが、小さな流れは突如、西軍対真治達という激流へと変化した。
しばらくはステルスで誤魔化せるなどと考えていたが、「死神」の知名度が恐ろしく高く、姿を見られてすぐに通信を聞いた西軍に取り囲まれたのだ。
「やれやれ……雑兵など相手にしてもつまらんからな。私は先に行ってるぞ」
そう言い、屈んで足に力を溜めた恵梨香は華麗に宙を舞い、取り囲んだ人達の頭上を越えて行ったのだ。
「お、おい! 死神が逃げたぞ!?」
「放っておけよ! あんなのと戦うつもりかよ!」
「まだ二人残ってんだ、こっちをやるぞ!」
それを見た人達のうち、恵梨香を追う者は殆どいない。
取り囲まれる前に、西軍である雪子と三葉は俺達から離れて難を逃れたが、人の輪の中に取り残された真治と吹雪は周囲を見回してその数に目を細めた。
西軍に入って、雪子のビルを襲撃された時と似たような状況だ。
ここでやられるようなら、沼沢に勝つなんてとても無理だと、日本刀を握り締めた真治は腰を落とした。
「困ったねえ……全員殺しても良いんだけどさ、時間と体力が勿体無いよね」
真治と、ピタリと背中を合わせて武器を構える吹雪が呟いた。
「じゃあどうします? 恵梨香さんみたいにここから逃げますか?」
脱出するという吹雪の意見には賛成だったが、沼沢に辿り着くまでにもっと強くならなければ勝ちはない。
沼沢の所に着くまでに、余計な体力も時間も費やしたくはないが、それとは矛盾した考えが真治を少し悩ませた。
しばらくはステルスで誤魔化せるなどと考えていたが、「死神」の知名度が恐ろしく高く、姿を見られてすぐに通信を聞いた西軍に取り囲まれたのだ。
「やれやれ……雑兵など相手にしてもつまらんからな。私は先に行ってるぞ」
そう言い、屈んで足に力を溜めた恵梨香は華麗に宙を舞い、取り囲んだ人達の頭上を越えて行ったのだ。
「お、おい! 死神が逃げたぞ!?」
「放っておけよ! あんなのと戦うつもりかよ!」
「まだ二人残ってんだ、こっちをやるぞ!」
それを見た人達のうち、恵梨香を追う者は殆どいない。
取り囲まれる前に、西軍である雪子と三葉は俺達から離れて難を逃れたが、人の輪の中に取り残された真治と吹雪は周囲を見回してその数に目を細めた。
西軍に入って、雪子のビルを襲撃された時と似たような状況だ。
ここでやられるようなら、沼沢に勝つなんてとても無理だと、日本刀を握り締めた真治は腰を落とした。
「困ったねえ……全員殺しても良いんだけどさ、時間と体力が勿体無いよね」
真治と、ピタリと背中を合わせて武器を構える吹雪が呟いた。
「じゃあどうします? 恵梨香さんみたいにここから逃げますか?」
脱出するという吹雪の意見には賛成だったが、沼沢に辿り着くまでにもっと強くならなければ勝ちはない。
沼沢の所に着くまでに、余計な体力も時間も費やしたくはないが、それとは矛盾した考えが真治を少し悩ませた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
6
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる