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持つべき信念

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「そうだね。どっちが追われても恨みっこなしで行こう。良いね?」


「はい、わかりました」


そう言った瞬間、真治と吹雪は同じ方向を向いていた。


取り囲んでいる人の壁の、一番薄い部分。


真治は日本刀を振り上げて、吹雪は低い体勢からチャクラムを構えて踏み込んだ。


恐らく、ここにいる誰もがその動きを捉えられなかっただろう。


振り下ろした日本刀、舞うように振り上げられたチャクラムが、西軍の人間を切断して。


地面に崩れ落ちる前に、二人ははさらにその後方にいた人達も仕留めていた。


動いたと判断した時にはもう遅い。


取り囲んだ壁の一部を突破して、円の外側に脱出していたのだから。


「ひゅう。やるじゃん少年! 私の動きに付いて来れるなんて意外!」


「そりゃどうも」


ここに集まった西軍を無視し、雪子達が移動した方向へと走り出した。


吹雪の動きに付いて行ける。長距離の移動ではまだまだ勝てそうにないが、瞬発力なら劣ってはいないという事実は真治の自信に繋がる。


「い、いねえ!? どこ行った!」


「ど、どこがまだ弱っちいガキなんだよ!! 一瞬で五人は殺されたぞ!」


二人がいなくなったことにやっと気付いた人達が、遥か後方で騒ぎ始めたのを背中で聞いて神田に向かって走っていた。
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