東京バベルブレイカー～殺戮都市バベル～

持つべき信念

system_0348

真治に迷っている暇などなかった。


ここは西軍、時間を掛ければ沼沢の傷はすぐに癒えてしまう。


場所も、実力も、圧倒的に不利な状況だというのに、一撃で仕留められなかったのは真治にとっては痛い。


今の一撃で、沼沢が真治を格下だと油断することはないだろう。


日本刀を右手に握り締めて、ジリジリと沼沢に迫る。


「来いよ」


冷たく、刺すような視線を向けると同時にそう呟いた沼沢に触発されるように、真治は駆け寄った。


左手から垂れた鎖が、沼沢が腕を振ったことにより、真治に襲い掛かる。


珍しく単調な攻撃を素早く横に回避し、さらに詰め寄って日本刀を振った。


だが、その攻撃は鎖を巻き付けた左手によって止められ、沼沢の蹴りが胸に直撃したのだ。


「がはっ!!」


一瞬だが、息が出来なくなるほどの衝撃。


さらに追い討ちとばかりに、日本刀を弾いた左手が、鎖を握り締めた拳となり、真治に迫ったのだ。


仰け反って、防御姿勢を取る事も出来ない状態。


沼沢の拳が右胸に直撃し、ボキボキッと骨が砕ける音が聞こえて。


真治は受身を取ることも出来ず、後方に吹っ飛ばされて地面に転がったのだった。