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新たな脅威

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日本刀を振り抜いた反動を利用し、クルリと一回転して着地した真治は再び南軍へと走り出した。


急に変わったこの切れ味はなんなのだ。今までの日本刀とは全然違う。レベルが上がったからなのか、それとも別の要素があるのかはわからないが、何にしてもこの土壇場での成長はありがたい。


急いで恵梨香の後を追って、南軍に入った真治。


しばらく走って、もう大丈夫だろうと振り返った真治は追い掛けて来るナイトの姿を見た。


赤マントはやられたのか、それとも振り切って迫っているのか。


「嘘だろ!? もうここは南軍なのに! 赤マントはどうなったんだ!」


南軍に入り、吹っ飛ばされた左耳が治り始めている。


三笠の手足がなかった時のように、欠けた部分は自然回復しないみたいだが、痛みは消える。


「まずいな! 少年、建物の中に入れ! 化け物は中までは入って来ないはずだ!」


少し先を走る恵梨香もナイトが追って来るのに気付いたようで、両国駅に隣接する建物へと進路を変えた。


確かにポーンは入って来ないかもしれないが、新種のナイトはどうなのだろうか。


あの大きさなら物理的に入ることは出来ないが、建物を破壊して追って来る可能性はないとは言えないから、賭けに近かった。


その言葉を信じ、ナイトに追われながらも真治は恵梨香が入ったビルへと走った。
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