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聞こえぬ死燕の足音

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「はぁ……無理はするもんじゃないな」


恵梨香と早く合流しなければという思いと、治るまでゆっくりしようという思いの間で揺れながら、とりあえず目を閉じる。


東軍のことは総力戦で何度か戦っただけで、詳しいことは知らない。


侵攻して来る人達と戦うからか、強いやつが多いという印象があったがそれ以外はわからない。


間違いなくさっきの女の子は強いというのはわかる。


最初に戦った星4レアの二人組、真冬と美優もあれからさらに強くなってると考えれば強敵なのだろう。


以前に戦った人が、以前と同じ強さのはずがない。


自分が強くなってるなら、周りも強くなってるのは当然なのだ。


「東軍か。おかしなことは考えちゃダメだ」


苦戦を強いられた相手に苦手意識を持つべきではない。


沼沢に一回殺されたが、二回目の戦いでは勝利した。


良いイメージだけを持つことが大切なのだと自分自身にそう言い聞かせようとした時だった。




コトン。




静かな医院の中で聞こえた、小さな物音。


「わ、わわ。今の聞こえなかったことにして!」


そして、その後に小さな声が聞こえた。


誰か奥にいる。
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