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聞こえぬ死燕の足音
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「……待ってな亜美。そこに大きな白い塔があるだろ? そこに行けば、きっと何かいいことがあるはずなんだ。だから亜美も俺も、お家に帰れるようになるさ」
バベルの塔に何があるのかは、真治どころか恵梨香にさえわからないことだが、亜美を慰めるにはそう言うしかなかった。
「うん」
と、小さく呟いてご飯を食べ終わった亜美は、嬉しそうに遊具へと駆けて行く。
そんな姿を微笑んで見ていた時だった。
ゾクリと、冷たい手で背筋を撫でられるような強烈な悪寒と、刺し殺すような殺意が真治を貫いて、呼吸が一瞬止まる。
「……騒ぐな、動くな。騒げば殺す、動いても殺す。返事は小さくしろ」
そして、背後から聞こえたそんな声と共に、喉に当てられた短刀が死を感じさせた。
「わ、わかった。誰だお前は……」
「質問は許可していない。訊くのはこちらだ。お前は死神の仲間だな? 北軍と南軍が一緒に、東軍に来て何をしている。言え」
この状況で嘘も誤魔化しも言えはしない。もしも嘘だと知られれば、言葉通り殺されてしまうだろう。
真治が全くその存在に気付かずに、この近距離まで接近を許す相手である。
コンビニに入る前に感じた殺意がこの人物が発した物だとすれば、ずっと見張られていたということで、殺すつもりならとっくに殺されていただろうから。
バベルの塔に何があるのかは、真治どころか恵梨香にさえわからないことだが、亜美を慰めるにはそう言うしかなかった。
「うん」
と、小さく呟いてご飯を食べ終わった亜美は、嬉しそうに遊具へと駆けて行く。
そんな姿を微笑んで見ていた時だった。
ゾクリと、冷たい手で背筋を撫でられるような強烈な悪寒と、刺し殺すような殺意が真治を貫いて、呼吸が一瞬止まる。
「……騒ぐな、動くな。騒げば殺す、動いても殺す。返事は小さくしろ」
そして、背後から聞こえたそんな声と共に、喉に当てられた短刀が死を感じさせた。
「わ、わかった。誰だお前は……」
「質問は許可していない。訊くのはこちらだ。お前は死神の仲間だな? 北軍と南軍が一緒に、東軍に来て何をしている。言え」
この状況で嘘も誤魔化しも言えはしない。もしも嘘だと知られれば、言葉通り殺されてしまうだろう。
真治が全くその存在に気付かずに、この近距離まで接近を許す相手である。
コンビニに入る前に感じた殺意がこの人物が発した物だとすれば、ずっと見張られていたということで、殺すつもりならとっくに殺されていただろうから。
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