上 下
478 / 682
襲い来る野獣

system_0478

しおりを挟む
外に出て、錦糸町駅に向かって歩き出した。


戦闘が始まったせいか、東軍の中心地には人がほとんどいないように思える。


真治にとっては都合が良いこの状況。


総力戦開始まで待ったのは正解だったと言えよう。


路地を移動して、しばらく歩いてやって来た錦糸町駅前。


さて、どこから中に入ったものかと、指定されたデパートの周囲を観察するが、恵梨香がどこに捕まっているかわからないならどこから入っても同じことだ。


日本刀を握り締め、どんなトラブルにもすぐに対応出来るように正面玄関の前に立った。


ここに侵入されても、どうにでも出来るという自信の現れなのか、ドアが全開で誰でも入って来いと言わんばかりだ。


強くなった真治の背後を取り、気付かれずに首に短刀を当てる程の実力者だ。


段違いの力量を備えた相手だということだろう。


「ふぅ……よし。行くか」


デパートの入り口。


深呼吸をした真治は、中に入る為に歩き出した。


罠のひとつもあるのかと警戒したが、至って普通の内装で人の気配も感じない。


中に入ると真治を出迎えるかのように、館内放送が流れたのだ。
しおりを挟む

処理中です...