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襲い来る野獣
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しおりを挟む「う、嘘だろ……恵梨香さん!!」
木材を使って作られたであろう十字架に、ロープで縛られている。
足や腕には釘のような何かが刺さり、まだ生きてはいるのだろうが、気を失っているのか返事はない。
わざと見えるように吊るしてあるこの状況、明らかに罠だとわかってはいるが、一刻も早く助けたい真治の心を揺さぶるには十分だった。
すぐに助けるべきか、それともこの動揺したタイミングで攻撃を仕掛けてくるのかと迷い、周囲を確認する真治の前にそれは現れた。
黒いパーカーでフードを被り、防毒マスクと保護ゴーグルを付けた人物が。
真治の背後を取った時とは違う。
隠し切れないのか、殺気を撒き散らしながら歩いて接近して来ていた。
「つ、津堂か? 約束通り来たんだから、恵梨香さんを返せ!」
俺の言葉が聞こえているのかいないのか、ナイフを抜いてさらに迫って来る。
まるで真治の言葉など聞いていないかのように。
これでは恵梨香を助けることを最優先にするなど不可能に近い。
何としてでも迫る津堂を殺さなければ、背後から刺されて殺されてしまう。
そう考えた真治は日本刀を握り締めて、津堂に飛び掛かった。
大振りは隙が生じる。
コンパクトに、最短距離で振り抜く。
津堂に急速接近し、振り抜いた日本刀は……その首を刎ね飛ばし、それは呆気なくゴロゴロと地面を転がった。
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