東京バベルブレイカー～殺戮都市バベル～

襲い来る野獣

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「ぐっ！　つ、強い！」


東軍で出会ってはならない四人。恵梨香が捕まっていなければ、出会っていなかったかもしれない危険人物。


勝てると言わずとも、救出して逃げればいいと考えたのが間違いだったのか。


沼沢は変速的な動きで翻弄されたが、津堂はまるで違う。


どうやっているのか、真治の考えの一歩先を行っているようで、反応が遅れてしまうのだ。


「強いと言うよりも、お前に無駄な動きが多過ぎるだけだ。お前は、敵を目視で捉えて構えるという動きに無駄がある。だから初動に遅れが出るんだよ」


まるで子供扱いだ。敵にそんなことまで教えるなど、それでも絶対に負けないと思っているから言えることだ。


その油断が命取りだと言いたいが、この力の差は真治にはどうしようもない。


津堂に言われたことを実行したとしても、付け焼き刃でどうにかなるとは思えないがやるしかない。


絶対的な強者を前に、脳がパチパチと弾くような音を立てているような緊張感に真治は息を荒くした。


左半身の痛みが全身を駆け巡るが、それ以上に目の前の敵に対して、神経が研ぎ澄まされるようだ。


様子を見るなどと、余裕を持てる相手ではなかったんだと真治は思い知らされた。