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襲い来る野獣

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閉じ込められているであろう大正記念館付近までやって来て、PBMでサーチをする。


「この中にいるはずだけど……どこにいるんだ? 明美さんは逃げちゃったしさ……」


明美をなんとしてでも捕まえてておけば、探すのにも苦労はしなかったはずだ。


PBMで奈央の反応を確認し、清澄庭園に入ろうとした時だった。


「奈央ちゃんを探すのなら俺も手伝う。一人で探すより二人で探した方が早く見つかるだろ。この建物の中か」


予想外の申し出。


まさか黒井が手伝ってくれるとは思わなかったから、その言葉はありがたい。


「す、すみません……大正記念館にいるとは思うんですが、手伝ってもらえるならありがたいです」


「そうか、わかった。ああ、そうだ。フレンド登録しておこうか。通信も出来るし、どちらかが見付けたら連絡するってことで」


「あ、はい。じゃあ申請送ります」


先程まで殺し合いをしていた人とフレンドになる。


それが当然というのが、この街の奇妙な所だ。


「奈央さんの知り合いなら説明はいりませんよね。俺は……じゃあ、正面から調べて行きますね」


「俺は他に入れる場所から探すか。真治くん、気を付けろよ。池田が捕虜を監禁している場所だ。見張りがいると考えた方が良い。まあ、池田はミンチになったし戦う理由はないだろ。それに同じ軍の人間だから、それがわかってて無駄に戦おうとはしないだろ」


同じ軍の人間に結構嫌われている真治は、その言葉に苦笑いを浮かべるしかなかった。


誰かと遭遇してもトラブルを起こさないようにと、真治は大正記念館の中に入った。
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