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怒りの咆哮

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奈央を中年に任せて、二人は街の中央部までやって来た。


相変わらずのポーンの群れ。


そして見える、ひときわ大きな化け物……ナイト。


「さてさて、話には聞いていたけど、ナイトとやるのは初めてだな。真治くん、大丈夫か?」


「それは奈央さんを失ってってことですか? だったら心配しないでくださいよ。もっと強くならなきゃ、何も守れないって知りましたから」


バトルガチャで引いた武器を、日本刀の強化に使って、レベルは45に。


身体能力は大して向上しているようには思えず、これが限界なのかと悔しささえ感じていた。


「……危険だな。強さを求めて自滅するやつは沢山いる。そうならないようにしてくれよ?」


ランスとソードブレイカーを構えて、臨戦態勢の黒井が肘で真治を突く。


危険も何もない。人を守れるだけの力が欲しいだけだと真治は考える。


「中央部に踏み込んだ瞬間、ナイトは襲って来ます。最初は戦って、隙を突いて逃げますよ。俺は前に全身の骨を砕かれたんですから」


「ひゅうっ。それはそれは。じゃあ……久し振りに本気で戦ってみようかな? 遊んで勝てる相手じゃなさそうだし」


久し振りにということは、真治と戦った時は本気ではなかったのだというのがわかったが、改めて聞くと悔しく思えるものだ。
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