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怒りの咆哮

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「簡単だが作戦を立ててみたぜ。俺がこいつを引き付ける。お前はなんとしてでも右の前足か左の後ろ足を斬るんだ。切断出来なくても良い、動けなく出来ればこっちの勝ちだ」


「は、ははっ。随分大雑把な作戦ですね……俺次第ってわけか。ポーンはどうします? 近くまで来てますけど」


こうして話している間にも、ポーンが迫って来ている。


考えている時間はなく、このままナイトと戦うか、ポーンを蹴散らしながら東軍まで逃げるかの選択を迫られていたが。


「ポーンくらいどうにでも出来るだろ。雑魚を片付けながら、本命を狙う。返事は『OK』か『はい』のどちらかにしろ!」


ポーンが雑魚とは、随分軽く言ってくれるものだ。


つい先日まで、真治はポーンにも勝つことが出来なかったというのに。


日本刀のレベルが上がり、ポーンにも勝てるようになったと思ったら、今度は二人がかりとは言え、ナイトと戦っている。


真治自身はあまりわからないが、確実に強くなっているということが相対的にわかる。


「OK!」


そう言い、黒井がナイトの正面に飛び込むと同時に、真治は左側に回り込んだ。


顔を動かし、二人の動きを確認するナイト。


左に回り込んで、この作戦の意味を真治は少し理解した。


ナイトが黒井の方を向いたら真治が後ろ足を、真治の方を向いたら、黒井が前足をということだろう。
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