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狂い始める歯車

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結局、それから優が何かを要求することはなく、亜美の世話をしてくれていた疲れが溜まっていただったのか。


10分もすると寝息を立てて、眠りに落ちたのだ。


真治は真治で、人を抱いて寝るという安心感を知ってしまったから、出来ればずっとこうしていたいという欲が出始めていた。


それでも、ゆっくりと優の首の下にある腕を抜いて、ソファから足を下ろして立ち上がる。


優も亜美も眠っている。


黒井達はデパートの偵察。


自分だけ何もしなくて良いのかと、気持ちだけが焦っていてもたってもいられない様子だ。


準備が出来ていれば、今すぐにでもデパートに向かいたいと考えているが、これほどまでに焦らされるのは初めての経験だ。


窓の外を見下ろすと、多くはないにしても人が歩いていて、こんな街でも必死に人は生きている。


戦闘が始まれば、武器を手に取って南軍に向かい、または攻めてくる北軍と戦かうだろう。


そしてソウルがなくなれば、復活する事も出来なくなって死んでしまうのだ。


人が生きる為には、人を殺すか、誰かに金や食料を貰うしかない。


最悪の場合、三笠のように雑草を食べて生き長らえるという手もあるのだが。


そんなことを考えながら、ぼんやりと外を眺めている真治の目に、どこかで見たことのある人物の姿が映ったのだ。
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