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狂い始める歯車

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ビルの外で三人と分かれ、デパートまで真っ直ぐの道にやって来た真治と黒井は、武器を抜いて深呼吸。


「俺がランスで入り口をぶち抜く。派手に登場した方が、津堂も焦って出て来るだろ。香月は任せたぞ。どちらかが早く終わったら、もう一方に手を貸すんだ」


「わかってますよ。相手は四天王ですから。本気で行かなきゃ、こっちが殺られますからね」


日本刀を振って、改めてその感触を確かめる。


コンディションはバッチリのようだ。


レベルが上がって、武器がさらに使いやすくなったように感じた真治は、不思議と落ち着いている様子。


「じゃあ行くぜ! よーい……」


その言葉で、二人は前傾姿勢を取った。




「ドンッ!!」




弾けるようなその合図で、二人は走り出す。


速度はほぼ同じで、無制限に上昇するかと思われた身体能力も、やはりこの辺りが限界なのだろうかと思わせる。


デパートまでの道に邪魔者はおらず、視界はクリア。


景色が高速で前から後ろへと流れて行く。


「真治! 俺の後ろに付きやがれ! ランスで入口をぶち破るぞ!」


「はいっ!!」


黒井に言われた通りに、少し速度を緩めた真治はその後ろに付いた。


ランスを構え、デパートの正面口に接近した俺達。


弾丸のような勢いで黒井のランスがガラスを破壊して、デパートの中に飛び込んだ。
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