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狂い始める歯車
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しおりを挟む以前から真治は感じていたことだが、黒井はたまにわざとらしいくらい格好をつけた事を言うよな。
伊達男と言うべきか、それとも厨二病と言うべきかというところだろう。
「黒井さん、こっちの声は聞こえてないと思いますよ」
「関係ねぇ! 俺が何を言っているかは、津堂が一番良くわかってるだろうぜ! これは気合を入れる儀式みたいなもんだ!」
それならば何も言うことはないと、真治は視線をデパートの内部に向けて周囲を確認する。
『まあ、お前達が何の目的でここに来ようが関係ない。ほら、北条が吊るされていた場所にいけよ。香月がそこでお前達を殺す』
随分余裕のようだ。まるで二人が来ることを予測していたかのように落ち着いている。
真治が恵梨香を助けに来ることがわかっていたから、強さから復活のタイミングを予想して待ち構えていたとでも言うのだろうか。
「香月がそこにいるなら、探す手間が省けましたね。行きましょう」
だが、どうせ戦わなければならない相手なのだから、今更迷う必要はなかった。
「じゃあ、香月は任せるよ。俺は津堂を探して来るからさ」
「わかりました」
香月の居場所はわかった。
二対一で戦えば、勝率は大幅に跳ね上がるだろう。しかしどちらかをフリーにして、四天王に準ずる実力者を呼ばれたりでもすれば、形勢は変わってしまう。
最善の方法ではないかもしれないが、これは黒井が納得出来る作戦なのだ。
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