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狂い始める歯車

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「相変わらず口の聞き方を知らない坊やだね! 年上はもっと敬うもんだよ! いいさ、教えてあげようか。このお嬢ちゃんはね、死神と一緒にこの10日間、ずっと津堂に拷問されていたのさ! 死なないように、でも最大限の苦痛を与えられるようにね!」


理沙の身体に傷はない。


嘘だと突っぱねることは出来たが、自軍にいるから傷の治りが早いと考えると、嘘ではないかもしれない。


「なんて事をするんだよ! 理沙は味方だろ! なのにどうして拷問なんて!」


「そりゃあ、協力しないって言ったからさ。まずは手足、腹や胸に、細い杭を刺されてグリグリ回されるのさ。おーやだ、思い出しただけでも寒気がするよ」


ブルッと身震いをし、それでも笑みは浮かべたままの香月に、怒りが沸き上がる。


理沙は、真治の知り合いだからという理由でそんな目に遭ったのだ。


「ふざけるな! 理沙を巻き込みやがって! 絶対に……」


日本刀を香月に向け、そこまで言った時。



「真治……お願い、死んで。私、もう嫌だよ」



ガタガタと震えながら、悲しげな表情を浮かべた理沙の目から涙がこぼれ落ちた。


元の世界では、いつも真治のことを気に掛けていてくれた理沙。


そんな理沙の涙に、真治の胸は締め付けられるように苦しくなった。
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