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狂い始める歯車

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この強固な防御力を誇る相手と、どうやって戦えば良いのか。


何も考えずに振るった日本刀が香月の身体に触れるが、手が痺れていて力が込められていない。


それどころか、その反動で手から日本刀の柄が離れてしまう。


「くっ! まずいっ!」


武器を持っていなければ、香月の遅い動きでも直撃を食らいかねないのだ。


日本刀から離れた手で、素早く鞘を引き抜き、金棒の攻撃範囲の外に飛び退いて体勢を整える。


直後、今まで真治がいた場所に金棒が振り下ろされた。


「チッ! ちょこまかと! ハエがいくら攻撃したところで、人間様は倒せないんだよ!」


危機一髪と言ったところか。武器を持っていなければ、誰であろうと並の人間で、素早くは動けない。


あの金棒の餌食になって叩き潰されていただろう。


「……そうか。その手があったか」


香月の硬さを打ち砕けるほどの一撃を放つことが出来れば良いのだが、あいにく真治にその攻撃力がないというのは明白。


勝機があるとすれば、どうしても守れない部分か、自分の攻撃が通るようにすれば良いと考えた。


「じゃあ見せてやるよ! そのハエが人間を倒すのを!」


素早く右手を何度も握ったり開いたり、痺れを取って、再び日本刀を引き抜いた。
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