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狂い始める歯車

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「出来もしない事を言うんじゃないよっ! お前の戯れ言は聞き飽きた! もう良い! 死になっ!!」


大きく一歩踏み出して、金棒をスイングし始めた香月。


一体何を狙っているのか、真治は心を落ち着かせるかのように深呼吸して、神経を研ぎ澄ませる。


狙いがわかってしまえば、香月はそうさせないように注意するだろうから、真治に勝ち目はなくなるだろう。


ここだというタイミングを逃さないよう、一発で仕留めなければならない。


思い切り振り下ろされた金棒を回避し、そのポイントに狙いを定める。


ブンブンと振り回す金棒を回避し続けて、そのチャンスは訪れたことを知る。


「鬱陶しい!! 早く死ねっ!」


回避する真治に攻撃が当たらないことに苛立ったのか、大きく口を開けて怒鳴り付けたその時。


「ここだ!」


身体を捻って、渾身の一撃を放とうとしている香月に向かって素早く駆け出した真治は、後方へと回り込んで「そこ」に刃を振るった。


狙いうは指だ。


切断出来なくても構わなかった。


痛みで金棒を手から放せば、その瞬間、香月の身体は硬さを失うのだから。


ゆっくりと振り上げられる金棒。


だが、日本刀は指を捉えていて。


息をヒュッと吐きながら振り抜いた日本刀。


香月の指を刃が撫でて、ビクンッとその身体が震えた。
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