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狂い始める歯車
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「助かったなら……それで良いです。俺、ちょっと行ってきますね」
少し興奮した様子で話す黒井をそこに置いて、真治はゆっくりと歩き出した。
恵梨香だけでも助けられて良かったと思うと同時に、出来れば理沙も助けてやりたかったと、悔やんでも悔やみ切れない。
黒井と津堂が戦っていた通路を抜け、エスカレーターのある少し広い場所。
そこのベンチに、光の粒に変化しない、理沙の遺体が長椅子の上で横たわっている。
「……理沙、終わったよ。約束通り、戻って来たよ」
床に膝を付き、理沙の頬を撫でる。
すっかり冷たく、温もりが失われてまるで死人だ。
「津堂はさ、俺と黒井さんで倒したよ。香月だって俺が倒したんだぜ? どうだ? 理沙が心配しなくても良いほど、俺は強くなったんだ」
言えば言うほど悲しみが胸を締め付ける。
だったら、どうして理沙を守れなかったんだ、どうして救ってやれなかったんだと、後悔だけがどんどん大きくなって行く。
仇を討ったよと報告したとしても、理沙が目を覚ますはずがないというのに。
ずっと真治を気に掛けてくれていた幼馴染み一人守れない。
強くなったという言葉がやけに虚しく思えて、その目から溢れる涙を止めることが出来ずにいた。
一番守りたかった人を守れなっただけではなく、守られて見殺しにしてしまった悔しさが胸を締め付けたのだろう。
少し興奮した様子で話す黒井をそこに置いて、真治はゆっくりと歩き出した。
恵梨香だけでも助けられて良かったと思うと同時に、出来れば理沙も助けてやりたかったと、悔やんでも悔やみ切れない。
黒井と津堂が戦っていた通路を抜け、エスカレーターのある少し広い場所。
そこのベンチに、光の粒に変化しない、理沙の遺体が長椅子の上で横たわっている。
「……理沙、終わったよ。約束通り、戻って来たよ」
床に膝を付き、理沙の頬を撫でる。
すっかり冷たく、温もりが失われてまるで死人だ。
「津堂はさ、俺と黒井さんで倒したよ。香月だって俺が倒したんだぜ? どうだ? 理沙が心配しなくても良いほど、俺は強くなったんだ」
言えば言うほど悲しみが胸を締め付ける。
だったら、どうして理沙を守れなかったんだ、どうして救ってやれなかったんだと、後悔だけがどんどん大きくなって行く。
仇を討ったよと報告したとしても、理沙が目を覚ますはずがないというのに。
ずっと真治を気に掛けてくれていた幼馴染み一人守れない。
強くなったという言葉がやけに虚しく思えて、その目から溢れる涙を止めることが出来ずにいた。
一番守りたかった人を守れなっただけではなく、守られて見殺しにしてしまった悔しさが胸を締め付けたのだろう。
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