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狂い始める歯車
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しおりを挟む「……真治くん、キミならわかるよね? 自分の為に、他の人が辛い目に遭う苦しみが。キミがそうだったように、死神も真治くんに辛い思いをさせてしまったことに心を痛めているのよ」
狩野が、穏やかに語り掛ける。
確かにそうかもしれない。
誰がどれだけ悲しんでも、心を痛めても、理沙が目を覚まさないことに変わりはない。
それに、これは真治と理沙の問題で、恵梨香が心を痛めるとは思いもしなかったのだ。
真治はどうすれば良いのかわからなかった。
こんなに悲しいというのに、元気なフリをすることなど出来ないし、人を気遣うことも出来そうにないのにと。
「わかり……ました。でも、理沙はどうすれば良いんですか。俺は……理沙と離れたくないです」
わがままを言っていることはわかっていた。
こうなってしまっては、どうしようもないことだというのは。
泣くだけ泣いて、少しは冷静に物事を判断出来るまでには回復したと思える。
奈央、理沙と、立て続けに悲しみが襲って来て、真治の心にはとてつもなく大きな喪失感がある。
「いつまでもここにいるわけにもいかないだろ。別れるのは辛いかもしれないけど、そんなに大切な人なら、自分の手で送ってあげたらどうだい?」
自分の手で送ると言われて、真治は黒井を見た。
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