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狂い始める歯車

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そんな狩野と黒井の様子を見て、名鳥は困ったような表情で頭をボリボリと掻いた。


「あー……まあいいや。とりあえず外に出ようか。話すにしても、戦うにしても、外の方がやりやすいっしょ?」


こちらの都合はお構いなしのようで、敵がいるというのに背中を向け、気だるそうに歩いて外に出た。


武器を構えていた黒井は、肩透かしを食らったようで、少しイライラしているのがわかる。


「なんだか、ただでは済みそうにないな。万が一ここで殺されたら……埋葬する場所を探せなくなるぞ」


ポンッと真治の肩を叩いて、外に向かって歩き出した恵梨香。


黒井も、狩野達もそれに続く。


自分を助けてくれたあの人が、次は俺達を殺そうとするのかと、真治にとっては気が気ではない。


東軍の内部事情はあまり良くわかっていないが、めまぐるしく変化する状況に流されるのが精一杯だ。


外に出て、皆の後に付いていくと、名鳥が立ち止まり、振り返る。


「えっと? 明ちゃん達は良いや。そっちの三人……あー、どこかで見たことがあると思ったら、前に助けたボウズもいるじゃないの。何、その美人が彼女ってわけ? かーっ! やるねぇ」


相変わらず飄々とした印象を受ける。


黒井も似たような感じだが、それ以上に思える。
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